世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2022-01-01から1年間の記事一覧

【読了】藤原和博「僕たちは14歳までに何を学んだか」

今年113冊目読了。教育改革実践家にして、東京都初の民間校長を務めた筆者が、学校では教えてくれない新時代の必須スキルを紹介する一冊。 前田裕二、キングコング西野、ホリエモンら「時代の寵児」たちにインタビューをしながら、という実に独特な掘り下げ…

【読了】田中慎弥「孤独論」

今年112冊目読了。未だに手書き原稿でしか文章を書かないというかなり異端な作家である筆者が、逃げて生きる、ということを提唱する一冊。 小6の娘が読みたいと言っていたので図書館で借りてきたのだが、これはどう見ても大人向けだ。むしろ、自分の方がため…

【読了】斎藤広達「超文系人間のための統計学トレーニング」

今年111冊目読了。経営コンサルタントの筆者が、「数字を読む力」が身につく25問を設定して訓練することを薦める一冊。 何気なく図書館で手にしたのだが、これはなかなか良書だ。自分のような、まさにゴリゴリの文系人間でも「統計学をどうビジネスに使うの…

【読了】伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

今年110冊目読了。今やベストセラー作家となった筆者のデビュー作。 最近、すっかり伊坂幸太郎にハマっているのだが、それにしてもデビュー作からこれだけ凄い世界観を描けていたのか…驚愕するしかない。 未来を見通せる案山子、かつての同級生で最悪な性格…

【読了】伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」

今年109冊目読了。ベストセラー作家が描き出す、短編小説の連作が織り成す不器用な駆け引きの数々。 最近ハマっている伊坂幸太郎ゆえに読んでみたが、これもまた面白い。いろいろなところで、過去の登場人物がからんでくるので、何度も前の「伏線」を読み返…

【読了】門倉貴史「本当は噓つきな統計数字」

今年108冊目読了。BRICs経済研究所代表にして、同志社大学大学院非常勤講師である経済学者の筆者が、統計数字にひそむ嘘を見抜くことを推奨する一冊。 「ホンマでっか?TV」でイロモノ的に扱われて名を売ったイメージが強すぎるが、書いてあることは至極…

【読了】逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」

今年107冊目読了。独ソ戦において、女性だけの狙撃小隊がたどる生と死を丁寧に描いた小説。 筆者は、この本でアガサ・クリスティー賞と本屋大賞を受賞したとのことだが、それも納得の圧倒的筆致。とても面白く、かつ独ソ戦の背景なども非常に詳しく知悉した…

【読了】大野誠一、豊田義博、河野純子、ライフシフト・ジャパン「実践!50歳からのライフシフト術」

今年106冊目読了。ライフシフト・ジャパン代表取締役CEOと、取締役と、執行役員の筆者が、葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人の実際の人生から、ライフシフトの実践について提唱する一冊。 リンダ・グラットン「ライフシフト」が出版されてから、話題になって…

【読了】ビョンチョル・ハン「疲労社会」

今年105冊目読了。ベルリン大学教授の筆者が、透明性があらゆる場面で要求される社会の現状を批判する一冊。 「透明社会」と対になっている一冊であり、こちらも文章自体は少ないものの、非常に深い思索がなされており、相当歯ごたえのある本だ。正直、読み…

【読了】仲正昌樹「統一教会と私」

今年104冊目読了。11年半にわたり統一教会に入信し、脱会して学者の道を進んだ筆者が、自らの半生と宗教体験を振り返る一冊。 2022年9月現在、相当に問題視されている統一教会。しかし、筆者は元・信者とはいえ、かなりライトなかかわり方をしていたことがわ…

【読了】細谷功×佐渡島庸平「言葉のズレと共感幻想」

今年103冊目読了。著述家と編集者にしてコルク代表取締役の筆者が、対談をしながら共感というものが幻想にすぎないことを解き明かしていく一冊。 「そもそも共感などというものは所詮自己満足の産物であり、個人の頭の中にある幻想なのではないか」という仮…

【読了】田坂広志「運気を磨く」

今年102冊目読了。内閣官房参与も務めた多摩大学大学院教授の筆者が、心を浄化する3つの技法を提唱する一冊。 そもそも、運気とは「第一:何かの勘が働く(直観)。第二:ふと未来を感じる(予感)。第三:上手く機会を掴む(好機)。第四:偶然の一致が起…

【読了】盛田隆二「夜の果てまで」

今年101冊目読了。ベストセラー作家の著者が綴る感動の恋愛小説。 一筋縄ではいかぬ展開、心の揺れ。これまた畏敬する先達にお薦めをいただいて読んでみたが、なるほどこれは筆者の「残りの人生で、今日がいちばん若い日」よりも深みがあるな。ただ、小説だ…

【読了】伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」

今年100冊目読了。ベストセラー作家が、いくつかの短編をときに交差させ、ときにすれ違わせしつつ、不思議な世界に迷い込ませる一冊。 畏敬する先達に薦められて読んでみたが、なるほどこれは面白い。なんだか独特な世界観なのがまたズブズブと嵌まり込む感…

【読了】ビョンチョル・ハン「透明社会」

今年99冊目読了。ベルリン大学教授の筆者が、透明性があらゆる場面で要求される社会の現状を批判する一冊。 文章自体は短いのだが、その中身の深さに圧倒される。簡単に割り切れる話ではないだけに、筆者の知見の深さ、洞察の鋭さを痛感させられる。 世の中…

【読了】小泉悠「『帝国』ロシアの地政学」

今年98冊目読了。東京大学先端科学技術研究センター特任助教の筆者が、勢力圏でユーラシア戦略を読み解く一冊。 2022年のウクライナ侵攻というあまりにも衝撃的な事件が、この本を読むと「なるほどロシア側から見るとそうなのか」となんとなく見えてくる。こ…

【読了】山口義宏「デジタル時代の基礎知識 ブランディング」

今年97冊目読了。インサイトフォース代表取締役の戦略コンサルタントが、「顧客体験」で差がつく時代の新しいルールを読み解く一冊。 わかりやすさを追求しているライトな本、という感じなのだが、やや定義することに追われている感じがして、いいことは書い…

【読了】池井戸潤「鉄の骨」

今年96冊目読了。ご存知ベストセラー作家の筆者が、談合に巻き込まれる建設会社の若者の奮闘を描き、社会に対して問題提起をする小説。 これは面白かった。さすが池井戸潤、寝る間も惜しんで一気に読み切ってしまった。ストーリー展開も、ややご都合主義なが…

【読了】BJ・フォッグ「習慣超大全」

今年95冊目読了。行動科学者にして、スタンフォード大学行動デザイン研究所創設者兼所長の筆者が、「小さな変化がすべてを変える」ことを提唱する一冊。 分厚いが、これは興味深い。早速、少し取り組んでみたが、確かに習慣化が圧倒的に速くなる。 習慣につ…

【読了】山竹伸二「共感の正体」

今年94冊目読了。評論家にして同志社大学赤ちゃん学研究センター嘱託研究員の筆者が、共感はつながりを生むのか、苦しみをもたらすのか、を読み解く一冊。 かなり筆者が勉強していることはわかるし、丁寧に説明しようとしているのもよくわかる。ただ、それ故…

【読了】スティーヴン・ハッサン「マインド・コントロールの恐怖」

今年93冊目読了。アメリカ人ながら19歳で統一教会に入り、27か月メンバーとして活動し、その後脱会した筆者が、マインドコントロールの構造とその逃れ方を伝える一冊。 2022年に問題となっている統一教会。そこにハマった当事者である筆者(たぶん相当に頭が…

【読了】秋田麻早子「絵を見る技術」

今年92冊目読了。美術史研究家の筆者が、名画の構造を読み解くことを提唱する一冊。 一時的に美術に興味を持ったことがあったので読んでみたが、なるほど、名画を見る時にこういった視点はなかったな… そもそもの絵画の見方について「無目的に見てはいけない…

【読了】クルツィオ・マラパルテ「クーデターの技術」

今年91冊目読了。イタリア人作家にして、第二次大戦前後に左右を問わず自由の敵を批判し続けた筆者が、いかに国家権力を奪取し、またいかにそれを防御するかについて歴史的分析を行った一冊。 書籍としては古典に分類されるものであるが、2022年のウクライナ…

【読了】野間俊克「将棋400年史」

今年90冊目読了。現役指導棋士六段の筆者が、徳川幕府時代の名人・大橋宗桂から藤井聡太までの系譜を紐解く一冊。 さらりと将棋史を押さえられる一冊。全く趣味の本だが、新書らしくライトで読みやすかった。 将棋の起源がチャトランガであることは知ってい…

【読了】椎名美智「『させていただく』の使い方」

今年89冊目読了。法政大学文学部英文学科教授の筆者が、「させていただく」という言葉を通じて日本語と敬語のゆくえを考察する一冊。 言語学の部分は少しかったるいが、基本的に社会学的な指摘は面白く読めた。新書ではあるが、ちょっと重たい内容。 筆者は…

【読了】メアリー・カルドー「新戦争論」

今年88冊目読了。ロンドン大学グローバルガバナンス研究センター教授の筆者が、グローバル時代の組織的暴力の本質を解き明かす一冊。 2001年、9.11前に執筆された本なのだが、2022年にもその洞察の鋭さは全く違和感のないものであり、筆者の慧眼に驚愕する…

【読了】小松左京「明日泥棒/ゴエモンのニッポン日記」

今年87冊目読了。ベストセラー作家が、宇宙人の視点で日本と世界の矛盾を鋭く抉り出す小説。 三谷宏治お薦めの本は、やはり安定的に面白い。1960年代の小説とは思えないくらい、現代においてもその説得力は衰えていないのが凄いというか怖いというか…ぜひ、…

【読了】盛田隆二「残りの人生で、今日がいちばん若い日」

今年86冊目読了。いろいろな事情を抱えた大人の恋愛を描き出す小説。 なんかの雑誌で紹介されていたので読んでみた。人間の負の部分、背負った過去、という設定はなるほど面白いし、子どもが絡んでくるのも、アラフィフの自分には理解できる部分がある。 …た…

【読了】伊坂幸太郎「AX」

今年85冊目読了。ベストセラー作家による殺し屋三部作の三作目。 マリアビートルを読んでファンになったが、この本で更に心を掴まれた。スピード感あふれる展開、魅力的な登場人物、緻密な心理描写、そしてスカッとするラスト。これは本当に面白かった。 ネ…

【読了】マーチン・ファン・クレフェルト「戦争の変遷」

今年84冊目読了。イスラエルのヘブライ大学歴史学部で教鞭をとる軍事史および戦略研究科の筆者が、21世紀になって戦争の定義が大きく変わった、ということを主張する一冊。 翻訳のせいなのか、けっこう読みにくい本なのだが、いわゆるクラウゼヴィッツの戦争…