世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【読了】池澤夏樹「マシアス・ギリの失脚」

今年84冊目読了。1993年に谷崎潤一郎賞を受賞した、南洋の島国の大統領と彼を通じた不思議な人の関わり合い、そして偉大なる自然を通して大いなる流れに翻弄される様子を描き出す一冊。 小説はネタバレするとよくないので(というか、タイトルがネタバレみた…

【読了】西内啓「統計学が最強の学問である」

今年83冊目読了。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教の著者が、データ社会を生き抜くための武器と教養を身に着けることを提案する一冊。 なぜ統計学が優れているか、については「どんな分野の議論においても、データを集めて分析す…

【読了】安斎勇樹、塩瀬隆之「問いのデザイン」

今年82冊目読了。株式会社ミミクリデザインCEOと、京都大学総合博物館准教授の著者が、創造的対話のファシリテーションのポイントと実例をまとめた一冊。 最近、SNSで繋がっている友達の中でしょっちゅう取り上げられていた本なので「これは面白いんだろうな…

【読了】アルフレッド・W・クロスビー「史上最悪のインフルエンザ」

今年81冊目読了。テキサス大学教授にして、アメリカ史、地政学、生態学的歴史学を専門とする筆者が、1918年から1919年に猖獗したにもかかわらず、忘れ去られたパンデミックについて解き明かす一冊。 400ページを超えるハードカバー本だが、コロナ禍のため、…

【読了】帚木蓬生「ネガティブ・ケイパビリティ」

今年80冊目読了。福岡県でメンタルクリニックを開業する精神科医にして作家でもある筆者が、答えの出ない事態に耐える力の大事さを説く一冊。 途中、筆者のこだわる世界に対する熱量が暴走して、読むのが疲れる部分もあるが(苦笑)、基本的にはなるほどと納…

【読了】岡田英弘「世界史の誕生」

今年79冊目読了。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授の筆者が、世界史というものをどう捉えるのかを広い知見と視野から提言する一冊。 歴史というものについて「千年以上もの間、中国文化に養われて成長してきた日本人にとって、歴史とは、ど…

【読了】西成活裕「とんでもなく役に立つ数学」

今年78冊目読了。数理物理学、渋滞学を専門とする東大先端科学技術研究センター教授の筆者が、私たちの生活をより良くする「生きた数学」を高校生たちに語った一冊。 ゴリゴリ文系の読み手でも、安心して楽しく読めるのは、筆者の実力だろう。「文系こそ、経…

【読了】エリーン・スネル「親と子どものためのマインドフルネス」

今年77冊目読了。オランダのマインドフル・ティーチング・アカデミーの創設者であり経営者でもある筆者が、1日3分の「くらべない子育て」でクリエイティブな脳と心を育てることを提唱する一冊(エクササイズCD付き)。 マインドフルネスについては、ビジネス…

【読了】福岡伸一「ルリボシカミキリの青」

今年76冊目読了。青山学院大学理工学部教授の筆者が、分子生物学者になったきっかけ、経緯、その後を分かりやすく書き表したエッセイ集。 軽く読める筆致ながら、その洞察力と、それを伝える文章力に引き摺り込まれる。 人間の興味のきっかけについて「ある…

【読了】ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器」

今年75冊目読了。アリゾナ州立大学教授にして、米国を代表する社会心理学者が、なぜ、人は動かされるのかについてメカニズムを明かしていく一冊。 第三者的視点で見ると「なるほど」と思うが、当事者になるとついついその「罠」にはまっていることをリアルに…

【読了】末永幸歩「13歳からのアート思考」

今年74冊目読了。東京学芸大学個人研究員にしてアーティスト、美術教師の著者が、「自分だけの答えが見つかるアート思考」について言及する一冊。 アートに関する勘違いとして「自分なりのものの見方・考え方とはほど遠いところで、物事の表面だけを撫でて分…

【読了】水村美苗「日本語が亡びるとき」

今年73冊目読了。創作の傍ら、プリンストン大学などで日本近代文学を教える筆者が、日本語の特性と英語の世紀の中で日本語がどうあるべきかを書き表した一冊。 言葉の特性については「自分たちの言葉で書くという行為─それが、自分たちの国を思う心と、いか…

【読了】柳澤桂子「生きて死ぬ智慧」

今年72冊目読了。お茶の水女子大学名誉博士の生命科学者にして歌人であり、原因不明の難病に苦しみ続けた著者が、般若心経を科学的解釈で美しい現代語に心訳し、堀文子の挿絵とともにいのちの意味に迫る一冊。 端的にいうと「般若心経の現代訳」なのだが、心…

【読了】梶谷真司「考えるとはどういうことか」

今年71冊目読了。東京大学大学院総合文化研究科教授の筆者が、0歳から100歳までの哲学入門を説く一冊。 哲学入門、としつつ、その中身は「集まった人々がフラットに対話を深めていく」という『哲学対話』を対象としている。 哲学について「世間から見れば、…

【読了】イリス・ボネット「ワークデザイン」

今年70冊目読了。ハーバード大学ケネディ行政大学院教授の筆者が、行動経済学でジェンダー格差を克服することを提唱する一冊。 人間の行動特性として「バイアスは、私たちの頭の中に根を張っているだけでなく、制度や慣行にも根を張っている」「人は誰しもバ…

【読了】ロバート・フリッツ「偉大な組織の最小抵抗経路」

今年69冊目読了。ロバート・フリッツ・インク社の創立者にして、創り出すプロセスの領域から組織、ビジネス、マネジメントで個人の生産性向上に取り組んでいる著者が、リーダーのための組織デザイン法則をまとめた一冊。 ぶ厚い本で、その中身も実に重厚。「…

【読了】山本太郎「感染症と文明」

今年68冊目読了。長崎大学熱帯医学研究所教授にして、アフリカやハイチなどで感染症対策に従事した筆者が、感染症との戦いの行方は共生しかないのではないか、と提言する一冊。 2011年に執筆されているが、コロナ禍真っただ中の2020年にこそ読みごたえがある…

【読了】吉原英樹「バカなとなるほど」

今年67冊目読了。神戸大学名誉教授の著者が、企業研究に基づいて発見した経営成功の決め手について述べた一冊。 ネタとなる企業はバブル期の原稿であるため、女性活用や海外進出など、違和感がある。しかし、その軸となる主張「成功している企業の多くが、一…