世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

【読了】福田和也「第二次大戦とは何だったのか?」

今年144冊目読了。慶應大学歓喜や情報学部助教授にして、幅広く執筆活動を展開する筆者が、戦争の世紀とその指導者たちについて掘り下げていく一冊。 独自の視点で、なかなか面白い。一般的に流布しているイメージを疑うことで見えてくるものがある、という…

【読了】木下昌輝「信長 空白の百三十日」

今年143冊目読了。気鋭の歴史作家である筆者が、「信長公記」を丹念に読み解くことから、大胆な推理を述べる一冊。 とにかく、粘着質とも言える執拗な掘り下げが凄い。それだけ記録した「信長公記」の筆者・太田牛一の執念も異常だが、それを読み解こうとす…

【読了】三宅雅子「熱い河」

今年142冊目読了。数々の文学賞を受賞した筆者が、パナマ運河の建設に日本人でただ一人関わった技師・青山士の活躍を描き出した一冊。 若い頃、パナマ運河を訪れた際に、博物館に展示されていた本を見かけて『なぜ、日本語の本がここに?!』と気になったの…

【読了】塩野誠「デジタルテクノロジーと国際政治の力学」

今年141冊目読了。経営者共創基板強度経営者・マネージングディレクターの筆者が、現代の政治とテクノロジーの関係、そして今後を読み解く一冊。 これは、本当に興味深い。断片的にニュースで読むのと、流れで通読するのでは、俯瞰的な理解が全く変わってく…

【読了】福永文夫「大平正芳」

今年140冊目読了。保守本流を歩んだ政治家にして、風貌から「讃岐の鈍牛」と銘されるも、政界屈指の知性派であり、戦後保守を担った大平正芳の実像に迫りながら、戦後保守とは何かを追及する一冊。 畏敬する友人がお薦めしていたので読んでみたが、なるほど…

【読了】ダイアナ・ホイットニー「なぜ、あのリーダーの職場は明るいのか?」

今年139冊目読了。経営コンサルティングの第一人者にして、コーポレーション・フォー・ポジティブ・チェンジ社長の筆者が、ポジティブパワーを引き出す5つの思考法を提言する一冊。 21世紀のリーダーシップが直面している現状を「①新しい世代が社会を担うよ…

【読了】ジェームス・C・スコット「反穀物の人類史」

今年138冊目読了。イェール大学政治学部・人類学部教授にして、農村研究プログラムを主宰する筆者が、国家誕生のディープヒストリーを解き明かす一冊。 これは、価値観を揺さぶられる良書だ。人類の進歩を、偏面的・直線的に捉えがちな「後知恵」を厳しく戒…

【読了】クリスチャン・ウォルマー「鉄道の歴史」

今年137冊目読了。イギリスを代表する運輸問題の評論家である筆者が、鉄道誕生から磁気浮上式鉄道まで世界を股にかけて読み解く一冊。 鉄道の社会に与えたインパクトとして「鉄道により距離や時間の概念がくつがえされ、やがて社会に大変動がもたらされた。…

【読了】スチュアート・サザーランド「不合理」

今年136冊目読了。サセックス大学実験心理学研究所所長である筆者が、誰もがまぬがれない思考の罠100を解き明かす一冊。 かなり分厚い本で、主張はそれぞれ「なるほどなぁ」と納得できるものの、どれもこれも「過去に見たことのある」話の焼き直し、という感…

【読了】越川慎司「超時短術」

今年135冊目読了。週休3日を実践するコンサルタントである筆者が、仕事のムダが必ずなくなる方法を、実際の取り組みから提言する一冊。 時短に踏み切るJITANステップとして「justification(べきはやるべき、正しいことを正しくやる)identification(無駄な…

【読了】中村俊介「世界遺産」

今年134冊目読了。朝日新聞大阪本社編集委員の筆者が、理想と現実のはざまで揺れ動く世界遺産という仕組みの光と影に目を向ける一冊。 世界遺産の前提と現状については「もともと世界遺産とは選別主義をはらんでいるものであるから、同種の資産が選ばれにく…

【読了】アレックス・カー、清野由美「観光亡国論」

今年133冊目読了。東洋文化研究者にしてNPO法人「篪庵(ちいおり)トラスト」理事長と、ジャーナリストの筆者が、オーバーツーリズムへの建設的な解決を検討する一冊。 なぜ、日本は今、観光なのか。「多くの人が『観光のために周辺環境が悪くなった』と思う…

【読了】読売新聞北海道支社夕張支局「限界自治 夕張検証」

今年132冊目読了。夕張市の破たん、財政再建団体としてのスタートの苦渋と、それを取り巻く人々の動きを「女性記者が追った600日」としてまとめ上げた一冊。 財政破綻の大きな原因を作ったのは6期24年もの長きにわたって市町を務めた中田鉄治氏だとし、その…

【読了】金井壽宏「働くひとのためのキャリア・デザイン」

今年131冊読了。神戸大学大学院経営学研究科教授の著者が、自分らしく成長していくためのヒントを、代表的なキャリア研究、発達心理学の概念を通して紹介する一冊。 「キャリアの歩みを、環境・時代のなかで自分らしさを追求する道にしていくには、節目はし…

【読了】ハンス・ロスリング「ファクトフルネス」

今年130冊目読了。スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げた医師にしてグローバルヘルスの教授である筆者が、思い込みを乗り越えてデータを基に世界を正しく見る習慣を提唱する一冊。 言わずと知れたベストセラーで、なるほど、それだけの価値はある。非常…

【読了】半藤一利、秦郁彦、平間洋一、保坂正康、黒野耐、戸高一成、戸部良一、福田和也「昭和陸海軍の失敗」

今年129冊目読了。旧日本軍を内外から知る論客たちが、対談形式によって旧日本軍の矛盾、日本型組織の欠点を抉り出す一冊。 軍隊の特性として「軍隊は、その将校の出身階層が民主的になると政治的になる」「戦争指導者は、やはり政界を含めた外の世界とのつ…

【読了】黒田真行「40歳からの転職格差」

今年128冊目読了。ルーセントドアーズ株式会社代表取締役にして、ミドル世代専門転職コンサルタントの筆者が、転職にまだ間に合う人、もう手遅れな人の特徴と、どうミドル転職に向き合うべきかを解説する一冊。 ミドル転職を取り巻く環境については「人口減…

【読了】新庄耕「ニューカルマ」

今年127冊目読了。マルチビジネスに転落する主人公と、その周囲の人物を、主人公の心の揺らぎを通しながら描き出す小説。 これは、恐ろしくも面白い。人間の弱さ、傲り。そこにつけ込むビジネスモデルであるマルチ商法。マルチ側の闇に落ちないために、また…

【読了】中村朱美「売上を、減らそう。」

今年126冊目読了。佰食屋という、従来の経営手法とは全く異なる飲食店経営をする筆者が、その哲学と実践についてまとめた一冊。 筆者は、飲食店について「会社の売上がどんなにのびても、従業員が忙しくなって、働くことがしんどくなってしまったら、なんの…

【読了】小飼弾「本を読んだら、自分を読め」

今年125冊目読了。ブロガー、プログラマー、投資家である筆者が、年間100万ページを血肉にする「読自」の技術を紹介する一冊。 本を読む効用としては「本を読むということは、自分を変えるための①場所を変える②時間の使い方を変える③誰と付き合うかを変える…

【読了】佐々涼子「エンド・オブ・ライフ」

今年124冊目読了。ノンフィクション作家である筆者が、最期を迎える人と、そこに寄り添う人たちの姿を通して、終末期のあり方を考える一冊。 人間の苦悩については「病気を前にしたら身がすくむし、ちっぽけな自分にはどうしようもない負の感情が湧いてくる…

【読了】岩佐義樹「失礼な日本語」

今年123冊目読了。毎日新聞社校閲センター部長の筆者が、失礼な日本語を心地よい日本語に変える文章マナーを説く一冊。 文章を正しく書くコツとして「訂正をさらすという形で間違いを犯すことへの恐れを持つ」「パソコンの場合は文書を印刷する。紙ならペン…

【読了】スティーブン・ガイズ「小さな習慣」

今年122冊目読了。自己成長ストラテジーの調査と執筆を行う人気ブロガーが、目標をばかばかしいぐらい小さくすることを提唱する一冊。 筆者の提唱する小さな習慣については「毎日こ」だけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動」…

【読了】佐々木敏「栄養データはこう読む!」

今年121冊目読了。東京大学大学院教授にして、科学的根拠に基づく栄養学を提唱する筆者が、疫学研究から読み解くぶれない食べ方を提唱する一冊。 脂肪異常症については「コレステロールの摂取量はこの50年間に2割減ったが、飽和脂肪酸のほうは逆に6割増えた…

【読了】平野啓一郎「カッコいいとは何か」

今年120冊目読了。ヒットメーカーの小説家が、「カッコいい」という事について掘り下げて思索し、追及する一冊。 何故、カッコいいについて考えるか、は「『カッコいい』は、民主主義と資本主義が組み合わされた世界で、動員と消費に巨大な力を発揮してきた…

【読了】池澤夏樹「真昼のプリニウス」

今年119冊目読了。小説化の筆者が、火山研究を行う大学教授の目を通しながら、人生、自然などを絡めながら話が展開する興味深い小説。 細かい筆致と、ダイナミックなストーリー展開を得意とする筆者らしい、非常に面白い本だ。ラストが、なんとなく肩透かし…

【読了】鴻上尚史「空気を読んでも従わない」

今年118冊目読了。劇団を率いる劇作家が、日本の生きづらさを読み解き、この日本をどう生きるべきかを提唱する一冊。 日本の特性として「村、つまり『世間』は、ちゃんと掟に従っている限り、ずっとあなたの面倒を見てくれた」「今、『世間』は中途半端に壊…

【読了】上田信行「プレイフル・シンキング」

今年117冊目読了。同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授にして、ネオミュージアム館長の筆者が、仕事を楽しくする思考法を提言する一冊。 非常にわかりやすい筆致で、さらりと読むことができる。…が。キャロル・S・ドゥエックに師事したとのことで…

【読了】東山紘久「プロカウンセラーの聞く技術」

今年116冊目読了。臨床心理学を専攻する京都大学大学院教授の筆者が、聞き上手は練習次第でなることができるとし、そのポイントを説く一冊。 「聞くことは理解すること。音や言葉を聞くことは簡単だが、相手を理解することは難しい」「人の話を聞くことは、…

【読了】中村和彦「入門 組織開発」

今年115冊目読了。南山大学人文学部心理人間学科教授、同大学人間関係研究センター町である筆者が、組織開発についてわかりやすく紐解いて解説する一冊。 私淑する中原淳先生の盟友である中村和彦先生の本なので、一度読んでみたかったが、これはすっきりま…