2022-01-01から1年間の記事一覧
今年143冊目読了。父親が4人(!)という奇想天外な設定ながら、それが様々な事件に巻き込まれつつも収斂していく面白い小説。 これも面白い。自分が父親だからこそ、なおのこと、心に響く部分が多い。展開のスピード感も、伊坂幸太郎ならでは。本当に、今年…
今年142冊目読了。霊長類学・人類学者、京都大学総長の筆者が、ゴリラの目で見た人間社会の不思議を見つけ出し、その働きを検討する一冊。 京都大学の総長とは思えない(←誉めている)軽妙かつくだけた語り口で、非常に読みやすい。 人間の関係性について「…
今年141冊目読了。伊坂幸太郎の「死神の精度」の続篇だが、こちらのほうが圧倒的に面白い。スリリングな展開、一人を除いて実に人間臭く魅力的な人々。そして、それらが見事に収斂する圧倒の伏線回収。伊坂ワールドここにあり、という一作。 できれば「死神…
今年140冊目読了。世界遺産アカデミー主任研究員の筆者が、コロナ禍の中において世界遺産の価値をあらためて問い直す一冊。 実際に筆者の講義を聞いたことがあるが、穏やかながら熱意溢れる喋り口そのままな筆致。コロナ禍を反映した中身も興味深い。「ペス…
今年139冊目読了。一週間の調査の後、対象者の死に可否の判断を下すという『死神』の目から人間社会を描き出す不思議な小説。 伊坂幸太郎らしい、安定の面白さ。疲れていても、なんとなく元気が出る。死を描いているにもかかわらず、そんな心境にさせてくれ…
今年138冊目読了。日立製作所中央研究所の主管研究長である筆者が、ウェアラブルセンサを用いて人間・組織・社会の法則を見出すという挑戦的な一冊。 これは凄い研究だ。統計によって、物事の本質を見極めるには「データ」が必要なのだが、こんな観点でデー…
今年137冊目読了。今年、すっかりハマったベストセラー作家が、不思議な福祉士と彼を取り巻く人々が起こす不思議な物語。 偉そうな道徳を述べるわけでもない。述べたとしても、あっさりひっくり返す(笑)。それでもなお、なるほどなぁと思ったり、ほっこり…
今年136冊目読了。東京大学大学院経済学研究科教授の筆者が、物価理論の要諦を説きながら理解へと導く一冊。 まず、「商品の魅力は、特性と供給量に左右される」と経済の原則を述べ、一般的に使われている物価の定義は「昨日と同じ効用を得ようとしたときに…
今年135冊目読了。駐ウクライナ大使、衆議院外務調査室長などを歴任した筆者が、ロシアに次ぎヨーロッパ第二の広い領土を持つ「知られざる大国」の素顔に迫る一冊。 もちろん、ウクライナ侵攻という悲劇があったから手にした本。発行は2002年なれど、歴史的…
今年134冊目読了。辛い過去を抱える兄弟が、連続放火とグラフィティアートの不思議なつながりに、遺伝子のルールが絡まっていく不思議な小説。 これまた安定の面白さだが、自分としてはやや面白さが劣るような気がする。ラストにもモヤモヤ感が残るし、いつ…
今年133冊目読了。金沢大学国際基幹教育院准教授の筆者が、ダークツーリズムから見た世界を書き記した一冊。 図書館で何気なく手にしたのだが、なかなか洞察が深く、学びになった。 筆者は、ダークツーリズムを「戦争や災害などの悲劇の記憶を巡る旅」と定義…
今年132冊目読了。ベストセラー作家が、小学生を主人公にした短編小説5編をまとめた一冊。 筆者は、あとがきで「子供を主人公にする小説を書くのは難しい」と記しているが、なんのなんの。安定の筆致の冴えは、いかにも伊坂ワールドで、満喫できる。 ネタバ…
今年131冊目読了。文化人類学者にしてアクティヴィストの筆者が、現代社会で「なくなっても差支えない仕事」が増殖する状況を読み解く一冊。 超分厚い本で、かつ話が非常に細かいので読み疲れ感が否めない。だが、核心を突いている、という感覚もまた凄い。 …
今年130冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、不思議な能力を持つ兄と、その弟が別の能力を引き継ぐ、という奇妙なストーリーながら、妙な実感を持たせて進んでいく小説。 いかにも伊坂幸太郎らしい小説。そこここに、様々なメッセージが盛り込まれていると…
今年129冊目読了。南カリフォルニア大学ドーンシフ記念教授にして、脳・創造性研究所所長の筆者が、機械が到達できない最後の人間性を解き明かそうと試みる一冊。 畏敬する先達が薦めていたので読んでみた。これはなかなか難解だが、芯のメッセージは『身体…
今年128冊目読了。放送大学教授、東大名誉教授の筆者が、危機を乗り越え武家政治の礎を築いた北条義時の転機に着目してまとめた一冊。 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がむちゃくちゃ面白いので、この本も気になって図書館で予約し、相当待たされて手にすること…
今年127冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、2年前の事象と現在の事象をクロスさせながら真実が繋がっていく様子を描き出す一冊。 これも安定の面白さ。2人の主人公の人生が、様々な登場人物によって縒り合わさるように進んでいく様は、さすがだと感じる…
今年126冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、天才野球選手とその周囲を描き出す不思議な小説。 天才野球選手といっても、その天才のレベルがあまりにも違いすぎる。が、決して輝かしいわけではなく、裏道を行く人生から数奇な流れになっていく。凄いな、と…
今年125冊目読了。ベストセラー作家が、首相暗殺について、殺人の容疑をかけられた人物の側から描き出す会心作。 これは本当にスリリングで、圧倒的。首相暗殺、という『見えている』ストーリーを、裏側から見せるという形で凄まじいドキドキ感を味わえる。…
今年124冊目読了。ベストセラー作家である筆者による、学生生活の関わりを描くことで人の縁の妙を味わう青春小説。 どっぷりとハマっていて、個人的には『伊坂幸太郎にハズレなし』と思っていたのだが、これはなんだかしっくりこなかった。イマイチ感が強い…
今年123冊目読了。株式会社学びデザイン代表取締役社長の筆者が、変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」を提唱する一冊。 イラスト入りで、肩の凝らないような読み口ではあるものの、主張はかなり重厚。これは読んでよかったと感じさせられた。 筆者は「…
今年122冊目読了。徳島大学総合科学部教授の筆者が、相対主義と普遍主義の問題を、標題に沿って掘り下げる一冊。 ちょうど、『みんな違ってみんないい』では物事が進まなくなってしまう、ということを体感している時期に読んだので、非常に納得性が高かった…
今年121冊目読了。大人の数学塾である永野学習塾塾長と、専修大学人間科学部准教授の筆者が、数学と統計学の繋がりと違いが腑に落ちることを目指した一冊。 少しばかり統計を学び始めた文系人間としては、なかなか読み解くことに苦労したものの、なかなか読…
今年120冊目読了。ベストセラー作家が、5人の女性と付き合っていた男性が巻き込まれる数奇な運命を不思議なタッチで描き出す一冊。 それぞれの女性に対して、不思議なやり取りが繰り広げられ、結果的になぜか良い結末になる、というのは伊坂ワールドだなぁ…
今年119冊目読了。アイルランド出身の劇作家・小説家の筆者による、現代演劇最大の傑作、あるいは問題作とされる一冊。 一度は読んでみたい、と思っていたが、確かにこれはよくわからない。なんでこれが傑作と呼ばれるのだろうか… 気になったフレーズは「い…
今年118冊目読了。弁護士として、長年「全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長」を務めてきた筆者が、霊感商法・世界平和統一家庭連合の実態を暴き出す一冊。 もともと『統一教会って、怪しくて近寄るべきでない存在』という認識ではあったが、ここまで違法…
今年117冊目読了。シカゴ大学公共政策大学院ハリススクール助教授の筆者が、因果関係分析に焦点を当てたデータ分析の入門を紹介する一冊。 筆者は、現代において「ビッグデータが存在するだけでは実務の改善には至らず、ビッグデータを解析しビジネス現場の…
今年116冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、因幡の白兎やレ・ミゼラブル、オリオン座をモチーフにしながら不思議な事件とそこに隠された人々の思惑を描き出す小説。 最近、すっかり伊坂幸太郎にハマっている。この本も、ワクワクしながら、世界観に浸り、…
今年115冊目読了。慶応義塾大学経済学部教授と、富士通総研・経済研究所の研究主幹である2人が、ネット上の議論の実態を計量分析で掘り下げていく一冊。 佐渡島庸平が本で紹介していたので、タイトル的にも気になって読んでみた。統計的手法をかなり使って…
今年114冊目読了。ジャーナリストにして近畿大学教授の筆者が、男性たちが人生の節目で直面する問題を取り上げ、理不尽ともいえる現実を明らかにする一冊。 2022年にオッサンと呼ばれる世代にとっては、これは本当によくわかる。逆に、女性が指摘してくれな…