世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】永野裕之、岡田謙介「統計学のための数学教室」

今年121冊目読了。大人の数学塾である永野学習塾塾長と、専修大学人間科学部准教授の筆者が、数学と統計学の繋がりと違いが腑に落ちることを目指した一冊。


少しばかり統計を学び始めた文系人間としては、なかなか読み解くことに苦労したものの、なかなか読み応えはあった。「統計の目標は、世の中にあるさまざまな『自然』の中に法則性を見出し、その法則性を使って部分から全体を推し量ること」という目的を、改めて認識せんとな…


割り算の2つの意味として
A)aをn等分すると1つあたりp個である。違う単位どうしの割合(等分除)
B)aをnずつに分けるとp個になる(aはnがp個分である)。違う単位どうしの割合(包含除)


グラフの特徴として
ⅰ)棒グラフ:大小を表す
ⅱ)折れ線グラフ:変化を表す
ⅲ)円グラフ:割合を表す
ⅳ)帯グラフ:割合を比べる


ばらつき具合の表し方として
・四分位数&箱ひげ図:中央値を基準とする
・分散&標準偏差:平均を基準とする


相関関係について注意すべきこととして
1)得られた傾向が一般的であるとは限らない
2)相関関係があっても因果関係があるとは限らない


…などは、改めてなるほどと感じた。


数学と統計について「統計は道具として便利なのでその使いかただけを覚えてしまおうという人が多いようですが、いろいろな統計量に対しての『理解』がないと、自分が何をやっているかがわからなくなって勉強が先に進まなくなります」「数学は、そして統計はやり方を知っているだけではやがて必ずわからなくなります」という指摘は、ツールとして利便性のみ欲しがる文系人間には耳が痛い…


その他、参考になったのは「無限というものを何か完結したものとして扱うのは反対です。それは数学では決して許されません。あくまで『無限に大きくしていく』というプロセスとして使う」。そんな認識、まるでなかったな…


筆者がまとめとして語っている「数学ができるようになるコツはただ一つ、丸暗記をやめて結果よりもプロセスを見る眼を育てること」があまりに重い。やっぱり、数学は難しいな…