世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

読了書籍の書評

【読了】河合香織「老化は治療できるか」

今年37冊目読了。ノンフィクション作家の筆者が、アンチエイジング研究の最前線を追う一冊。 面白いテーマではあるのだが、まだまだ科学的には研究途上なので、これといった結論がないのがもどかしい。しかし、こうした考察は大事だろうな。 なぜ死が恐ろし…

【読了】長谷川ヨシテル「キテレツ城あるき」

今年36冊目読了。歴史ナビゲーター・歴史作家の筆者が、ユニークな城の特徴をまとめた一冊。 軽妙な筆致で、何気なく深い知識が入ってくるので、このシリーズは楽しく読める。城好きならもちろんのこと、歴史好きが『城好き』に目覚める助けになるかもしれな…

【読了】柏井壽「京都の定番」

今年35冊目読了。歯科医院にしてエッセイストの筆者が、京都の定番を押さえて楽しむことを提唱する一冊。 京都観光の書籍は山ほどあるが、確かにこういう感じの本はあまりない。 筆者は、まず「何事も、定番を知らずして、深く理解することはできない。何事…

【読了】永井路子「この世をば(上下)」

今年33・34冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、藤原道長と平安王朝の時代を圧倒的なボリュームで書き表した本。 当然、NHK大河ドラマ「光る君へ」が大当たりなので読んでみたというところ。そして、これがまた実に読み応え十分!道長を「圧倒的な成功者」…

【読了】ダニエル・ピンク「When 完璧なタイミングを科学する」

今年32冊目読了。21世紀型の動機づけ理論を提示した筆者が、時間生物学に注目した「When to」タイムハックを唱える一冊。 知遇を得た畏友が薦めていたので読んだら、なるほど面白かった、という本 サーカディアンリズムから「感情のバランスは午前中に上昇し…

【読了】垂水雄二「悩ましい翻訳語」

今年31冊目読了。主に科学分野の翻訳を行う翻訳家の筆者が、科学用語の由来と誤訳を探る一冊。 なかなかマニアックな中身だが、案外読み応えがあって面白かった。確かに、翻訳語は魔窟だよなぁ。 翻訳語の難しさについての「訳語の選択は異文化コミュニケー…

【読了】武田砂鉄「わかりやすさの罪」

今年30冊目読了。フリーライターの筆者が、わかりやすさがもてはやされる現代に警鐘を鳴らす一冊。 筆者がひねくれ者なのはよくわかるが(笑)、それで片付けられない深さがあるように感じる。 現代社会の病理として「『どうしてこの私にわかるものを提供し…

【読了】鈴木勇一郎「国鉄史」

今年29冊目読了。川崎市市民ミュージアム学芸員の筆者が、国鉄通史を分析する一冊。 関係者ではないのに、よくここまで調べたなぁ…という細かさ、わかりやすさ。通史として見るにはわかりやすいと感じた。 そもそも国有鉄道について「一般的な国鉄のイメージ…

【読了】孫泰蔵「冒険の書」

今年28冊目読了。インターネット関連のテック・スタートアップの立ち上げに従事している連続起業家の筆者が、AI時代のアンラーニングについて物語形式で書き記した一冊。 筆者は「教育と社会は両輪であり、社会を変えたければ教育も同時に変えないといけない…

【読了】萩原さちこ「城の科学」

今年27冊目読了。フリーの城郭ライターで編集者の筆者が、個性豊かな天守の「超」技術を紹介する一冊。 城好きでないと、まず手にしない本だし、そうでないと読んでて楽しくないだろうな、という図書館で見つけた一冊。よくこんな本が出版されたものだ(笑)…

【読了】長谷川ヨシテル「ポンコツ武将列伝」

今年26冊目読了。タレントにして歴史マニアの筆者が、ポンコツと評される武将の実態と魅力に迫るちょっと変わった一冊。 かなりマニアックな本なのだが、そこから見える人物像、人の成功は何なのか、ということなど、なにげに考えさせられる。 小田氏治につ…

【読了】中川浩一「プーチンの戦争」

今年25冊目読了。元外務省交渉官の筆者が、ウクライナ動乱を分析しながら、日本のあり方を思考する一冊。 タイトルと、筆者の肩書きから期待して読んでみたが、自分にとっては期待外れ。冷静な分析と言うよりも、筆者の妄想をぶちまけるために表題で『釣った…

【読了】橘玲「バカと無知」

今年24冊目読了。作家である筆者が「人間、この不都合な生きもの」について様々な観点から考察する一冊。 名古屋時代に知遇を得た人生の大先輩がお薦めしていたので、だいぶ時間がかかったが読んでみた。なかなかエグい内容で圧倒されつつ、疑問も持ちつつ。…

【読了】風来堂「地形と戦術で見る日本の城」

今年23冊目読了。旅や歴史などを取り上げる編集プロダクションが、全国の堅城57城を取り上げ、現地を歩いて描いた立体形縄張図とともに攻めと守りのポイントを説き明かす一冊。 少しずつ城郭マニアになってきたので、これも面白いかなと思って読んでみたが、…

【読了】中井均「決定版 日本の城」

今年22冊目読了。城郭研究家にして滋賀県立大学教授の筆者が、名城の楽しみ方を網羅的に解説する一冊。 城郭検定の公式テキストに指定されているだけあって、非常に知識面で重厚な本。イラストや写真も多くて理解しやすく、読み物というより図鑑のような位置…

【読了】安川新一郎「ブレイン・ワークアウト」

今年21冊目読了。グレートジャーニー合同会社代表、東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員の筆者が、人工知能と共存するための人間知性の鍛え方を提言する一冊。 安定的に良書を薦めてくれる畏友の推薦図書だったのだが、これがまぁ想像以上!!今年最…

【読了】東京大学広報室「素朴な疑問VS東大」

今年20冊目読了。大学活動を広める広報室が、「なぜ?」から始まる学術入門をする一冊。 体、身の回り、自然科学、環境に関する素朴な疑問41個を学術的に解き明かすというプロセスはなかなか面白い。読む人によってポイントは全く異なるだろうが、興味深く読…

【読了】ブルース・シュナイアー「ハッキング思考」

今年19冊目読了。ハーバード・ケネディ・スクールで教鞭をとるセキュリティ技術者の筆者が、「強者はいかにルールを歪めるのか、それを正すにはどうしたらいいのか」を考察する一冊。 ハッキングというとコンピューターの世界だけに感じるが、実は社会システ…

【読了】谷川嘉浩「スマホ時代の哲学」

今年18冊目読了。京都市立芸術大学美術学部デザイン科特任講師の哲学者である筆者が、失われた孤独をめぐる冒険を解き明かす一冊。 畏敬する先達が薦めていたので読んでみたら、なるほど非常に納得できる。まさにスマホ時代というのをどう捉えるか、というこ…

【読了】読売新聞経済部「JRは生まれ変われるか」

今年17冊目読了。国鉄改革の功罪を、コロナ後の社会情勢から振り返る一冊。 コロナ後に輸送量が減ったJR。「採算性と公共性のはざまで、JRはどこへ向かおうとしているのか」という疑問を調べていくこの本は、昭和史が令和にどのように影響をしているのか、と…

【読了】山口真由「挫折からのキャリア論」

今年16冊目読了。東大法学部首席卒業、財務省官僚、弁護士、ハーバード大学ロースクールという一見華やかな経歴を持つ筆者が、「すべての失敗は未来の自分へのプレゼントになる」と、レジリエントに生きることを主張する一冊。 畏友が薦めていたので読んでみ…

【読了】坂口孝則「買い負ける日本」

今年15冊目読了。調達・購買コンサルタントの筆者が、日本の絶望的なモノ不足と、機能不全に陥った日本企業の惨状を描き出す一冊。 衝撃的なタイトルだけでなく、現実が非常に厳しいことを痛感せざるを得ない。 日本が素晴らしいなどという思い込みは「国内…

【読了】吉岡圭子「鉄道と愛国」

今年14冊目読了。朝日新聞記者として日中関係を取材したジャーナリストの筆者が、中国・アジア3万キロを列車で旅して考えたことをまとめた一冊。 鉄道立国・日本。しかし、それは現代アジアからの見方とは大きく乖離していることを痛感せざるを得ない。 筆者…

【読了】清田隆之「よかれと思ってやったのに」

今年13冊目読了。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の文筆家が、男たちの「失敗」の構造に迫る一冊。 筆者がいみじくも「自分の残念な部分が浮き彫りになって落ち込んでも、それが自分という人間の現在地なのだと認め、ここから出発するしかない」と言うと…

【読了】林健太郎「否定しない習慣」

今年12冊目読了。リーダー育成家にして合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチの筆者が、いつも『いい人間関係』をつくることを提唱する一冊。 畏友がお薦めしていた本なので楽しみにしており、期待通りの面白さ。 否定を「『相手の言葉や考え、行動の…

【読了】馬田隆明「解像度を上げる」

今年11冊目読了。東京大学FoundXディレクターの筆者が、曖昧な思考を明晰にする『深さ・広さ・構造・時間』の4視点と行動法を解き明かしていく一冊。 ついつい適当に仕事をしがちな自分にとっては、これは大きなヒントになるかと思って手にしたが、なるほど…

【読了】尹雄大「聞くこと、話すこと。」

今年10冊目読了。テレビ制作会社を経てライターになった筆者が、人が本当のことを口にするときはどういうときか?を考察する一冊。 とにかく洞察が深い部分が多く、すぐに活かすノウハウではなく、染み入るような深みがある。噛み締めながら読むべき本だと感…

【読了】マリア・レッサ「偽情報と独裁者」

今年9冊目読了。ノーベル平和賞を受賞したフィリピンのジャーナリストである筆者が、SNS時代の危機に立ち向かうことを力強く提唱する一冊。 とても分厚い本だが、フィリピンが独裁者に占拠されていく様、そしてそれにソーシャルメディアが恐ろしい役目を果た…

【読了】茂木健一郎「IKIGAI」

今年8冊目読了。脳科学者の筆者が、日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣「生きがい」について深く考察する一冊。 もともと英語で書いた書物を和訳するという逆輸入版だが、なかなか興味深い。ただ、共感できる部分とそうでない部分がそれなり明確にあるの…

【読了】伊東潤「城を攻める 城を守る」

今年7冊目読了。歴史小説家である筆者が、小説ではなく事実に依拠して城の魅力をさまざまな戦いから描き出す一冊。 筆者の小説「利休」が面白いことと、城好きなので読んでみたが、さすがの面白さ。 城の魅力について、筆者は「なぜ、ここに堀切や竪堀を入れ…