世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

【読了】新野剛志「迷える空港 あぽやん3」

今年192冊目読了。空港で働く人たちの人間模様を、それぞれの人達にスポットを当てながら生き生きと描き出していく小説。 第一作「あぽやん」第二作「恋する空港」に続く第三作。主人公視点で固定されていた二作とは異なり、色々な人がストーリーテラーとな…

【読了】新野剛志「恋する空港 あぽやん2」

今年191冊目読了。空港を舞台にして、お客様を送る旅行会社の人達の奮闘とその人間模様を描き出す小説。 三谷宏治お薦めで読んだ「あぽやん」が面白く、続篇のこの本を読んだが、これまた面白い。恋愛ネタがメインになっているが、それ以外の人間模様も丁寧…

【読了】ビル・ジョージ「True North リーダーたちの羅針盤」

今年190冊目読了。最先端医療技術企業のメドトロニック社でCEO兼会長を務めた後、ハーバード大学ビジネススクール前教授、現シニアフェローの筆者が、自分らしさをつらぬき、成果を上げることを提唱する一冊。 そもそも、リーダーとは何か。「真のリーダ…

【読了】船橋洋一「フクシマ戦記(上下)」

今年188・189冊目読了。朝日新聞主筆を務めた筆者が、福島原発事故を取材し続け、「10年後のカウントダウン・メルトダウン」を見つめ直す本。 とても読み応えがある。なにせ、あの「原発」と「事故」に否応なく向き合わされた日々は、今なお生々しく記憶に残…

【読了】小林英夫「日中戦争」

今年187冊目読了。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科名誉教授の筆者が、日中戦争を日本と中国がそれぞれ全く異なる戦略で臨んだことを解き明かす一冊。 日本の軍部が強かな中国側に泥沼戦争に引きずり込まれた、というステレオタイプではなく、もう少し掘…

【読了】松家仁之「火山のふもとで」

今年186冊目読了。 ベストセラー作家の文壇デビューとなる長編小説。 学生の頃の友人が薦めてくれたので読んだが、「ホントにこれ、処女作?」というくらい重厚なプロット、微細な筆致。これは文壇が大騒ぎになったんだろうな。 建築、自然、音楽、食事の描…

【読了】野村萬斎「狂言サイボーグ」

今年185冊目読了。ご存知、第一線で大活躍をする狂言師である筆者が、狂言を通じて伝統、身体性などとの向き合いを読み解いていく一冊。 これはとても興味深い。狂言について何も知らなくても、非常に勉強になる。筆者が読みやすい言葉に砕いてくれているの…

【読了】新野剛志「あぽやん」

今年184冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、旅行会社の空港勤務を命ぜられた主人公と、それを取り巻く人間模様、事件、そしてメンバーの成長を面白く描き出す一冊。 ちょっと間の抜けたトーンのタイトルどおり、少しハラハラしつつもとても楽しく読めるの…

【読了】星渉、前野隆司「99.9%は幸せの素人」

今年183冊目読了。ビジネスコンサルタントと、慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科教授の筆者が、科学的な理解を通じて幸せになることを提唱する一冊。 前野隆司教授の本は好きで、元々読みたくて、図書館でずっと予約待ちしてた。これは…

【読了】星新一「ボッコちゃん」

今年182冊目読了。ご存知、ショートショートの大家である筆者が、自己の初期作品を50作自選した一冊。 標題作を含め、あっと驚くもの、なるほどと思わされるもの、くすっとさせられるもの、星新一ワールドを満喫できる。 とても、まとめられるものでもないの…

【読了】恩田陸「六番目の小夜子」

今年181冊目読了。今やベストセラー作家となった筆者のデビュー作にして、学校を舞台に不思議な歴史と現在が恐怖をもって交錯する一冊。 三谷宏治お薦めなので読んでみたが、なるほど恐怖感がありつつも、青春のみずみずしさ、甘酸っぱさも織り込まれていて…

【読了】宮台真司「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」

今年180冊目読了。首都大学東京教授にして、社会学者・映画批評家の筆者が、過去の講義内容を集約し、戦後そして90年代以降の漂流する日本の分析と今後について考察する一冊。 分厚い本で、少しひるんだし、読み進めるのに理解が大変だったが、それだけの価…

【読了】マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ「意識はいつ生まれるのか」

今年179冊目読了。ミラノ大学教授とウィスコンシン大学精神医学科教授の筆者が、脳の謎に挑む統合情報理論を説く一冊。 とても専門性が高く、なかなか素人にはハードルの高い本だ。それでも、なんとかくらいついてはみたものの、なかなか読みこなすには至ら…

【読了】安藤忠雄「連戦連敗」

今年178冊目読了。東京大学教授にして、超著名な建築家である筆者が、コンペへの挑戦とその挫折、しかしそこから学んだことについて講義形式のものをまとめた一冊。 世界遺産を学んだ際に、少し建築の知識をかじった(←かじらざるを得なかった)が故に、まぁ…

【読了】クライブ・ハミルトン「目に見えぬ侵略」

今年177冊目読了。オーストラリア研究所の創設者・元事務局長の筆者が、中国の対豪戦略とその侵食に警鐘を鳴らす一冊。 かなり分厚い上に二段書きであり、相当読み疲れたのだが、それだけの価値はある、と感じられる。 中国共産党の基本的戦略として「北京の…

【読了】松家仁之「光の犬」

今年176冊目読了。編集者を経て作家になった筆者が、北の町に根付いた一族三代と、そのかたわらで人々を照らす北海道犬の姿から、生のきらめきと翳りを描き出す一冊。 大学の畏友から薦められて読んでみたが、これがまぁとても面白い。丁寧に、味わいながら…

【読了】細谷功「具体⇄抽象トレーニング」

今年175冊目読了。ビジネスコンサルタントの筆者が、具体と抽象の関係性から、どのように見ている諸元を行き来して物事を理解するか、を提唱する一冊。 さらりと読めるうえに、中身が実にしっかりしていて、とても興味深く面白く読むことができた。途中にワ…

[読了】梨木果歩「海うそ」

今年174冊目読了。超ベストセラー作家が、昭和の初めに離島を調査した人文地理学の研究者のフィールドワークと、50年後の縁を描く一冊。 学生の頃の友人に強く薦められて読んでみたが、なるほど、それだけの読み応えがある。これは面白い。 自然に対する主人…

【読了】長嶋有「猛スピードで母は」

今年173冊目読了。筆者の芥川賞受賞作の表題曲と、その前回に芥川賞候補になった2本がまとまった一冊。 もともと、変なタイトルだなぁと思っていた小説で、三谷宏治のお薦めで読んでみたが、ザラザラしつつも少し安心しつつ、それでも最後にトゲが残る、とい…

【読了】スティーブン・レヴィ―「暗号化」

今年172冊目読了。ニューズウィーク誌のチーフ・テクノロジー・ライターの筆者が、10年にわたる取材に基づいて、プライバシーを救った反乱者たちの物語に迫る一冊。 物語としての「国家権力とそれに対抗する者たち」の面白さと、暗号開発の面白さの両面があ…

【読了】ジャック・アタリ「命の経済」

今年171冊目読了。フランス大統領顧問、欧州復興開発銀行初代総裁を歴任した筆者が、「パンデミック後、新しい世界が始まる」としてコロナ禍とその後を読み解く一冊。 コロナ禍の2020年7月に書かれた、洞察に満ちた本。もちろん、フランス人である筆者の見方…

【読了】神林長平「アンブロークン アロー」

今年170冊目読了。「言葉」「機械」などを重層的に扱う人気SF作家が、地球と異星体との戦いを通じて、人間というものを描き出すSF小説の続篇。 「戦闘妖精・雪風<改>」「グッドラック」のさらに続篇。SFから、どんどん哲学議論に入り込んでいくような話に…

【読了】君塚直隆「立憲君主制の現在」

今年169冊目読了。関東学院大学国際文化学部教授の筆者が、ヨーロッパの立憲君主制を紐解きつつ、日本人は「象徴天皇」を維持できるか、を考察する一冊。 SNSで薦めている人がいたので読んでみたが、なるほど読み甲斐がある。ちと前半が冗長で、世界史の知見…

【読了】宮部みゆき「龍は眠る」

今年168冊目読了。ミステリーの名作家が繰り出す、特殊能力とその苦悩、そして巻き込まれる事件から、人間の深い懊悩を描き出す一冊。 これはホントに深くて面白い。500ページ越えの文庫本だが、一気に読んでしまった。ネタバレは避けたいので、気になったフ…

【読了】アルフレッド・ウェゲナー「大陸と海洋の起源」

今年167冊目読了。大陸移動説を唱えた偉大なるドイツ学者の著書を、今によみがえらせる一冊。 社会系の科目は嫌いではないのだが、それでもあまりに専門的すぎて、読みこなすには至らず…正直、ここまでの詳細な検証をしたことへの驚き以外はなかなか残らず……

【読了】羽生善治「決断力」

今年166冊目読了。史上最強と言われた将棋棋士の頂点であり、今なおタイトル戦に挑むという超人的な実力を見せる筆者が、全盛期に決断力についてまとめた一冊。 新書だからといって読みやすいと油断してはいけない。鋭い記述がそこここにあり、本当に勉強に…

【読了】デビッド・ヴァイス、マーク・マルシード「Google誕生」

今年165冊目読了。ピュリッツァー賞受賞経験のある「ワシントン・ポスト」紙記者と、「ワイアード」誌の共同創刊者である筆者が、ガレージで生まれたサーチ・モンスターの背景とその成長をまとめ上げた一冊。 かなり記述が詳細で読み疲れるのが難点だが、こ…

【読了】熊平美香「リフレクション」

今年164冊目読了。昭和女子大学キャリアカレッジ学院長、一般社団法人21世紀学び研究所代表理事を務める筆者が、自分とチームの成長を加速させる内省の技術についてまとめた一冊。 とても読みやすいが、実践が難しい。リフレクションワークをしながら深めて…

【読了】神林長平「グッドラック」

今年163冊目読了。「言葉」「機械」などを重層的に扱う人気SF作家が、地球と異星体との戦いを通じて、人間というものを描き出すSF小説の続篇。 三谷宏治のお薦めで読んでみて、激ハマりした「戦闘妖精・雪風<改>」の続篇だけあって、面白さがさらに深まっ…

【読了】山田昌弘「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」

今年162冊目読了。家族社会学を専門とする中央大学文学部教授の筆者が、結婚・出産が回避される本当の理由に斬り込む一冊。 友人がSNSで薦めていたので読んでみた。なるほど、読みやすい上にわかりやすい。そして、少子化対策の根本的なズレもよくわかる。 …