世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

【読了】堺屋太一「鬼と人と(上下)」

今年160・161冊目読了。通産省の官僚から作家に転じた筆者が、信長の視点と光秀の視点から同じ事象を描く事で、織田信長という人物に迫る本。 これは、その着想と、実際の展開がとても興味深い。実際の社会でも、上司と部下の認識のズレは「あるある」なのだ…

【読了】神林長平「戦闘妖精・雪風<改>」

今年159冊目読了。「言葉」「機械」などを重層的に扱う人気SF作家が、地球と異星体との戦いを通じて、人間というものを描き出すSF小説。 変なタイトルの本だなぁ、と思っていたが、読んでみたらこれがまぁ面白い面白い。圧倒的な筆致に、一気に引きずり込ま…

【読了】中原淳、田中聡「チームワーキング」

今年158冊目読了。立教大学経営学部教授と立教大学経営学部助教の二人の筆者が、ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方を提唱する一冊。 中原淳先生の本は、どれも読みやすさに工夫がなされているのだが、本書も「人の学びを促す最もパワフルな要因…

【読了】デイヴィッド・スローン・ウィルソン「社会はどう進化するのか」

今年157冊目読了。アメリカの進化生物学者で、ビンガムトン大学教授の筆者が、進化生物学が拓く新しい世界観を説く一冊。 話が骨太すぎて、本当に読むのに骨が折れた。が、それだけの価値はあると感じる。もちろん、門外漢の自分が読みこなせたかどうかは全…

【読了】アダム・グラント「ORIGINALS」

今年156冊目読了。ペンシルベニア大学ウォートン校教授で、組織心理学者の筆者が、「誰もが『人と違うこと』ができる時代」をどう生きるか、を提言する一冊。 筆者は、オリジナルであることについて「オリジナルな人とは『みずからのビジョンを率先して実現…

【読了】おおたとしまさ「21世紀の『男の子』の親たちへ」

今年155冊目読了。心理カウンセラー、中高の教員免許を持つ教育ジャーナリストの筆者が、男子校の先生からのアドバイスをまとめ上げた一冊。 まずは「21世紀のど真ん中を生きる男の子たちにいまどのような感性が求められているのかを明らかにしていきながら…

【読了】ロバート・A・ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」

今年154冊目読了。アメリカのSF界の巨匠が放つ、圧倒的なボリュームと文脈、登場人物によって楽しませる一冊。 読み始めは、そのボリュームに圧倒されたが、細やかなプロットに基づき、人間と機械の共存、格差社会、など様々なことを考えさせられる。 小説系…

【読了】木本正次「黒部の太陽」

今年153冊目読了。毎日新聞編集委員から作家に転じた筆者が、黒部ダム建設に至る現場の苦闘をインタビューに基づいて描き出すドキュメンタリー。 これは、迫力満点。昭和31年という、まだまだ敗戦の傷跡が深い中で、復興、そして未来に向けて突き進んでいく…

【読了】河合隼雄「影の現象学」

今年152冊目読了。文化庁長官、京都大学名誉教授などを歴任した高名な心理学者である筆者が、心の影の自覚の重要性を鋭く指摘する一冊。 文庫本で読んでみたが、この中身の分厚さは相当なものがある。学びながら読み進める、という感じ。優れた大学の講義を…

【読了】前田高志「勝てるデザイン」

今年151冊目読了。株式会社NASU代表取締役、株式会社VIEW代表取締役、前田デザイン室室長の筆者が、デザインの素晴らしさ、価値を伝える一冊。 これはとても興味深い。「デザインは『思考』と『造形』の掛け算」「勝てるデザインの特徴は①一撃で分かる②ポリ…

【読了】堀江敏幸「オールドレンズの神のもとで」

今年150冊目読了。早稲田大学文学学術院教授にして小説家の筆者が、現実に即した話から、非常に不思議な世界の話まで、その想像力と創造力で様々な話を織りなすオムニバス形式の一冊。 学生時代の畏友が薦めてくれたので、自分では絶対に手にしない本を読ん…

【読了】村上信夫「帝国ホテル厨房物語」

今年149冊目読了。帝国ホテル専務取締役総料理長まで昇りつめた筆者が、自分の半生を振り返った日経新聞「私の履歴書」を冊子化したもの。 これはなかなか面白い。「黙って待っていたらチャンスはなかなか巡ってこない」「チャンスは練って待て」「留学は人…

【読了】村上龍「歌うクジラ(上下)」

今年147・148冊目読了。ベストセラー作家が生み出した、冒険ディストピア小説。 最初のうちは、荒廃した世の中の設定を追うのが大変で、その気だるさに読むのをやめようと思うほどだったが、読み進めるうちに、「理想的社会とは何か?」など、根源的な問いが…

【読了】エイミー・C・エドモンドソン「恐れのない組織」

今年146冊目読了。ハーバード・ビジネススクール教授の筆者が、「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす、と説く一冊。 今、組織は大きな変革を求められている。それは「現代において成長を推進するのは、発想と創意あふれるアイデアだ。人…

【読了】森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

今年145冊目読了。切ない恋愛を軸としながら、現実と繋がりつつも現実離れした登場人物たちが繰り広げる珍事件の数々が織りなす恋愛ファンタジー。 三谷宏治お薦めの本に入っていて、また、「太陽の塔」が良かったので読んでみた。が、自分にはやや合わない…

【読了】瀬名秀明「デカルトの密室」

今年144冊目読了。薬学博士の知識を活かしながらヒット作を連発する筆者が、自ら「最高傑作」と評する一冊。 その分厚さと複雑怪奇さ(入れ子構造)によって、なかなか理解するのが難しいが、それだけの読みごたえはあり、知性、人間というものについて深く…

【読了】ジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」

今年143冊目読了。アメリカ最大の広告代理店・トムプソン社の常任最高顧問、アメリカ広告代理業協会会長などを歴任した伝説の広告マンである筆者が、その知恵を惜しげもなく披露する一冊。 まず、その薄さにびっくり。しかし、そこに簡易にエッセンスが詰ま…

【読了】有川浩「阪急電車」

今年142冊目読了。ベストセラー作家の筆者が織りなす、様々な人間模様の交錯が絶妙に楽しくほっこりする一冊。 「空の中」が抜群に面白かったので読んでみた。SF小説だった「空の中」とは全く毛色が違う、日常に根差しながらも少し非日常、という匙加減が絶…

【読了】有川浩「阪急電車」

今年142冊目読了。ベストセラー作家の筆者が織りなす、様々な人間模様の交錯が絶妙に楽しくほっこりする一冊。 「空の中」が抜群に面白かったので読んでみた。SF小説だった「空の中」とは全く毛色が違う、日常に根差しながらも少し非日常、という匙加減が絶…

【読了】有川浩「空の中」

今年141冊目読了。ベストセラー作家が送り出す、未曾有のスペクタクルエンタテインメント小説。 航空自衛隊などがモチーフになっており、非常にワクワクする。やや恋愛話が甘ったるいきらいはあるが、それを抜きにしてもSFとして非常に優れている。ネタバレ…

【読了】小竹貴子「ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる」

今年140冊目読了。クックパッド編集担当本部長の筆者が、手抜きとおいしさのバランスを取る家庭料理を提唱する一冊。 見た感じから、普通の料理本とは一線を画する。「家庭料理は、おいしくありながら、毎日続けられるラクさとのバランスが大切」「見栄えが…

【読了】ジャン・ハッツフェルド「隣人が殺人者に変わる時 和解への道」

今年139冊目読了。ルワンダ内紛の生存者と殺人者が、再び著者のインタビューを受け、双方の声に耳を傾けていく一冊。 これはシリーズものなので「生存者たちの証言→加害者編→和解への道」と読み進めるのが正解だな。 殺人者たちは、刑務所で「『君たちの罪深…

【読了】ジャン・ハッツフェルド「隣人が殺人者に変わる時 加害者編」

今年138冊目読了。こちらはルワンダ内紛で加害者となった10人にインタビューをした衝撃の内容。 生存者編では恐怖を覚えたが、こちらには半端ない憤りを感じる。そして、人はそんなに身勝手になれるのか、という戦慄も覚える。 最初の頃の殺人について「殺さ…

【読了】ジャン・ハッツフェルド「隣人が殺人者に変わる時 生存者たちの証言」

今年137冊目読了。ルワンダ内紛で生き残った人々14人にインタビューをした衝撃の記録。 ルワンダ紛争末期に起こったおぞましいジェノサイド。もともと国民の84%がフツ、15%がツチ、1%がツワで構成されていたルワンダは、フランスが支援するフツ系政権と、ツ…

【読了】仲山進也「組織にいながら、自由に働く。」

今年136冊目読了。楽天大学学長、仲山考材株式会社代表取締役の筆者が、仕事の不安が「夢中」に変わる加減乗除の法則を提唱する一札。 筆者は、働き方のステージを加減乗除で説明。加:できることを増やす、苦手なことをやる、量稽古。仕事の報酬は仕事減:…

【読了】村上春樹「ノルウェイの森(上下)」

今年134・135冊目読了。超ベストセラー作家の、超ベストセラー長編小説。 学生の頃、筆者が住んでいた学生寮に住んでいた。この小説にも学生寮が出てくるので、確かに読んだ。「この寮の唯一の問題点はその根本的なうさん臭さにあった。寮はあるきわめて右翼…

【読了】村上春樹「ノルウェイの森(上下)」

今年134・135冊目読了。超ベストセラー作家の、超ベストセラー長編小説。 学生の頃、筆者が住んでいた学生寮に住んでいた。この小説にも学生寮が出てくるので、確かに読んだ。「この寮の唯一の問題点はその根本的なうさん臭さにあった。寮はあるきわめて右翼…

【読了】森見登美彦「太陽の塔」

今年133冊目読了。言わずと知れたベストセラー作家が、失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、痛快な一冊。 もともと小説は読まないのだが、三谷宏治「戦略読書」で薦められていたので読んでみたが、これは本当に面白い。自身が京…

【読了】西成活裕「渋滞学」

今年132冊目読了。理学部と工学部の橋渡しを望む東大大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授の筆者が、世の中の様々な「渋滞」の原因と問題解決の糸口を探る一冊。 誰もが嫌いな「渋滞」。それを科学的に読み解き、どうすればよいかを考える、という「ニ…

【読了】村上春樹「1973年のピンボール」

今年131冊目読了。超ベストセラー作家である筆者が、70年代の気だるい空気感と若者の迷い、そして季節の終わりを不思議なストーリーに載せて描き出す一冊。 気だるい灰色の空気感、なんとなく流れる日常、そんな中のスパイス的な出来事とそれに入り込んでゆ…