世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】仲山進也「組織にいながら、自由に働く。」

今年136冊目読了。楽天大学学長、仲山考材株式会社代表取締役の筆者が、仕事の不安が「夢中」に変わる加減乗除の法則を提唱する一札。


筆者は、働き方のステージを加減乗除で説明。
加:できることを増やす、苦手なことをやる、量稽古。仕事の報酬は仕事
減:好みでない作業を減らし、強みに集中する。仕事の報酬は強み
乗:磨き上げた強みに、別の強みを掛け合わせる。仕事の報酬は仲間
除:一つの作業をしていると複数の仕事が同時に進むようになる。仕事の報酬は自由


加の段階で意識すべきことは「できることを増やす。ただ、あくまで、自分の凸と凹をハッキリさせるためのベースづくりとしてチャレンジする」「苦手な仕事は、好みの作業に置き換える腕を磨くチャンスなので、喜ぼう」「①楽しい②社会的意義③成長可能性、というポジティブな仕事の動機を揃えるため、お客さんからのありがとうを大事にする」「流れをよくするため、『今ここ』を夢中で過ごす」。


減の段階で意識すべきことは「①やりたい(プロセス目的的)②得意(強み)③喜ばれる(利他的価値)のひとつでも欠ける仕事は捨てていく」「変化することのリスクより『変化しないことのリスク』を重く見る」「レールから外れたからこそチャレンジできる仕事というのが必ず転がっている」「社内で出世できなくても、社外で『世に出る』ことはできる」「お金にならないけどワクワクする仕事を2割やる」。


乗の段階で意識すべきことは「強み同士を掛け算するために①メインの軸で突き抜ける②突き抜けてからほかの軸を広げるとシナジーが生まれる」「流れに乗るため①夢中ゾーンのキープを目指しつつ、違和感を見逃さない②ふだんから口頭やSNSなどで『好みの情報』を発信しておく③信頼する人からの頼まれごとは『ハイ』か『イエス』で答える④趣味の分野にしがみつこうとしない⑤流れの『意味』を考える⑥迷ったら、正しい方よりワクワクするほうを選ぶ⑦収支を合わせる(やった甲斐があると思える状態にする)」「『文化をつくる』を仕事にしている、と考える。ピンとこなくても考え続ける」「共創するなら、愚者と思われても自然体でいる」「意見が異なったら『自分も正しい、相手も正しい、全員正しい』と唱え、見えているものや価値基準を『あきらめないですり合わせる』」「自分たちだけでやり切れないプロジェクトは、お客さんとチームになるチャンスにする」


除の段階で意識すべきことは「分けられないことは、分けられない(わからない)ままで楽しむ」「人を、あえて気づかれないようにアシストすることで自身をつけさせ、その後の人生で困難に遭遇しても乗り越えられるようにする(ありがとうと言われて喜んでいるうちは二流)」。


このほかにも、仕事をしていくうえで「『楽』とは各種コストを最小化すること、『楽しい』はたくさんコストをかけた上でそれ以上のメリットを享受すること」「仕事でモヤモヤを感じるときは、不安か退屈になっている」「仕事=作業×意味」「お金の代わりに使えるリソースは『時間』『手間』『思考』『気遣い』」のあたりの心構えは大事だと感じる。
そして「自分で決めないと、何も始まらない」「子どもが憧れる、夢中で仕事をする大人を増やしたい」のあたりはとても共感できる。


筆者の経験が自慢めいていて鼻につくことを我慢できれば、非常に読みやすくて面白い本。