世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】前田高志「勝てるデザイン」

今年151冊目読了。株式会社NASU代表取締役、株式会社VIEW代表取締役、前田デザイン室室長の筆者が、デザインの素晴らしさ、価値を伝える一冊。


これはとても興味深い。「デザインは『思考』と『造形』の掛け算」「勝てるデザインの特徴は①一撃で分かる②ポリシーがある③ならでは④興味を奪う⑤捨てられない」のあたりは、全く意識していないところで、虚を突かれた感がある。


「スピード解決への課題は①本質をつかめていない②引き出しが少ない③そもそも動作が遅い」「何かを極めたいときに、良いものだけを吸収したいという人からは、情熱を感じません。極めるということは、選り好みせずに端から端までそれに向き合うこと」「そもそも自分の理想の環境なんて誰かが用意してくれているわけがない。自分で理想の感覚を作るしかないのだ」のあたりも、切り開いてきた者の矜持を感じる。


仕事一般についても「仕事が速いというのは正義。そして思考と動作はある程度連動していて、動作が速くなると思考も必ず速くなるはず」「無意味なものでも、できるだけ価値のあるものに変えていきたい。そしてその『ちょっとしたこと』の積み重ねが、子どものような心を育ててくれる」「物理的に自分の手から離れると、気づきにくいことに気づける」「ものごとの本質は裏側にある」などと述べていて、早速参考にしたい。


「デッサンはクリエイティブの筋トレ」「良いものへの執着がクオリティを引き上げる。しつこさが、質を濃くする」のあたり、認知と観察、の重要性を感じさせられる。


今の時代を生き抜くために「仕事ではできない面白い経験を積んで、コミュニティで自分を知ってもらい、それがきっかけで新しいマネタイズに活かしていく」「情報があふれているから、振り切れないと、人は興味を持ってくれない」「誰もやっていないことをやるのは勇気がいるが、失敗したら潔く認めて方向転換すれば良い」「独立していない会社員だとしても、自分の能力を上げるための投資を惜しまない。本、セミナー、エンタメすべてに」


自分が気になったのは「自意識過剰だったり、作ったものへの愛が強すぎると、客観視ができない。『本当にこれでいいのか?』と客観視できる冷静さはかなり大事」「量と熱があるだけでいいというわけでもない。進化していかなければ意味がない」「失敗すると『自分はこれが苦手なんだ』と諦めがつく。それを真正面から克服しようとするのではなく、別の方法を考えることで新たな道が開ける」「現実は揺るぎようのない正解だから、直視しなければ前に進めない。直視した上で『じゃあどうしたらいいんだろう?』と考えることをやめなければ、必ず道は開ける」のあたり。今まさに自分が抱えている課題をズバリ突かれた感じがする。


最後の「デザインのトレーニング」はともかくとして、一般の働く人でも読むと参考になる部分は多いと感じた。