世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【国宝】玄奘三蔵絵

藤田美術館所蔵、紙本着色、鎌倉時代。 天竺求法を成し遂げた中国唐代の高僧、玄奘三蔵の生涯を全12巻に絵画化した絵巻。宮廷画家、高階隆兼が描いた、やまと絵の到達点を示す名品。玄奘を法相宗祖師として仰ぐ興福寺大乗院に伝来した。 丁寧で写実的ながら…

【読了】ヘミングウェイ「武器よさらば(上下)」

今年79・80冊目読了。アメリカの小説家にして、実際に従軍記者として戦場に身を投じた筆者が、戦争経験とその中での恋愛経験をモチーフにした二冊。 戦記物は昔かなり読み込んだが、そういった小説に記載されているのは、あくまで指揮官の苦悩・決断・情報検…

【読了】ヘミングウェイ「老人と海」

今年78冊目読了。アメリカの小説家にして、実際に従軍記者として戦場に身を投じた筆者が、戦後にわたったキューバでの光景から小説化した一冊。珍しく、この本は若いころに読んでいたのだが、その頃にはどうもその魅力がよくわからなかった。中年になってみ…

【読了】バルザック「グランド・ブルテーシュ奇譚」

今年77冊目読了。フランスの誇る巨匠作家による、短編集。バルザックといえば壮大な長編、というイメージが強いが、本著を読んで、全く違う側面もあることがわかった。特に表題作には圧倒された。あらゆるところに張られている伏線が(正直、読んでいるとき…

【国宝】玄奘三蔵絵

藤田美術館所蔵、紙本着色、鎌倉時代。天竺求法を成し遂げた中国唐代の高僧、玄奘三蔵の生涯を全12巻に絵画化した絵巻。宮廷画家、高階隆兼が描いた、やまと絵の到達点を示す名品。 玄奘を法相宗祖師として仰ぐ興福寺大乗院に伝来した。丁寧で写実的ながら、…

【読了】カフカ「変身/掟の前で」

今年76冊目読了。チェコ系ユダヤ人の筆者が、不思議かつ考えさせられる独特の作風を如何なく発揮した名作を集めた一冊。「何が書いてあるのかは明瞭に理解できるが、それが意味するところが何なのかを解釈しきれない」のが、この著者の面白いところであり、…

【古典文学が面白い。】

ここ半年、ちまちまと古典文学を読んでいる。「文学中年」なんて、どうなんだ?という感は否めないし、リアルが恐ろしく複雑なのに過去の小説を読み耽る暇はないだろう、という感覚もまたわかる。…が、しかし。人間の本質というのは、過去から変わっていない…

【読了】ミル「自由論」

今年75冊目読了。19世紀イギリスを代表する哲学者・経済学者の著者による、民主主義と自由主義のバランスを説いた名著。19世紀に、ここまで見抜いた慧眼に恐れ入るとともに、なんと人類は進歩しないものか…と愕然とする。ミルが、既にしてここまで確固たる提…

【読了】スウィフト「ガリヴァ旅行記」

今年74冊目読了。アイルランド出身の、厭人という立場をとり続けた作家による不朽の名作。これ、4章からなる大作なのだが、人口に膾炙している、かつ子供向けとして知られる「小人国への冒険」はあくまで1章。そして、その正反対の大人国(たいじんこく)へ…

【国宝】紫式部日記絵詞

藤田美術館所蔵、紙本着色。源氏物語の作者、紫式部が、中宮彰子に仕えた際の見聞や回想を記した日記の各節を料紙に書写し、絵を添えた巻物。動勢のある人物表現やダイナミックな構図により、各場面がいきいきと描き出されている。金の霞がかったような料紙…

【読了】O・ヘンリー「1ドルの価値/賢者の贈り物」

今年73冊目読了。アメリカの短編小説の達人が描き出す小説23篇をまとめた一冊。 好きな人は好きなのだろうが、正直、面白くなかった。なんとなく想定される結末に収斂していくものが多かったし、「ほほぉ、なるほど!」とエンディングに驚くようなものも少し…

【読了】スタンダール「赤と黒」

今年71・72冊目読了。フランスの生んだ名小説家の大作。主人公の野心と恋。明晰な頭脳を持ちながらも、生まれの悪さの劣等感と富裕層への憎しみ、そして何としてものし上がろうという燃えるような野心。これらによって、その才能を活かしきることよりも、む…

【読了】ジッド「狭き門」

今年70冊目読了。ノーベル文学賞を受賞したフランスの作家である筆者の代表作。ジッド自らの体験をモチーフにした恋愛小説だが、相思相愛でありながらその衝撃的な展開と、ストイックなまでに頑なな態度によって、凄まじいインパクトと問いをもたらす。ジッ…

【読了】魯迅「阿Q正伝/故郷」

今年69冊目読了。中国の辛亥革命に大きな影響を与え、旧制度・旧道徳の病根を抉り出していった作家による代表作。表題作は、どちらも有名だが、ぱっと読むだけでは「何のことやら?」という感じに陥る。あくまで、この本は「辛亥革命を目指し、現在(=1900…

【読了】モーム「月と六ペンス」

今年68冊目読了。イギリスの劇作家、小説家が、画家ポール・ゴーギャンの生涯をモチーフにしながら、本当に生きる道を見つけた人間の苦悩と直進、そしてそれに巻き込まれる周囲を描き出す一冊。主人公のストリックランドとの関係を持たざるを得なくなったス…

【国宝】曜変天目

藤田美術館所蔵。中国南宋時代、中国南部の福建省建窯で焼成された茶碗。漆黒の器で青や緑に斑文が光り、典型例は世界に3例しかない。徳川家康から水戸徳川家に渡り、藤田美術館に至る。 曜変天目茶碗とは、建窯で作られた建戔の一種。天目とは、中国の天目…

【大阪悲願の世界遺産、誕生。】

ついに、きた。百舌鳥・古市古墳群、世界遺産登録。これにより、有史史上初の「大阪の世界遺産」が誕生した。もちろん、保全・歴史経緯は重々承知しているが、「東京」と比類する商都として栄えながら、現代においては衰退の道を辿っている大阪に、大いなる…

【読了】アーリック・ボーザー「Learn Better」

今年67冊目読了。米国先端政策研究所シニアフェローの筆者が、頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップを書き記した一冊。〈お薦め対象〉 「学習」という行為に関わるすべての人 〈お薦め度(5段階評価)〉 ★★★★★ 〈実用度(5段階評価)〉 ★★★★★自分…

【読了】チェーホフ「桜の園/プロポーズ/熊」

今年66冊目読了。ロシアの文学科としては異例の短編小説・戯曲に活躍の場を求めた鬼才が描き出す悲劇と、滑稽で支離滅裂なボードビル2編をまとめた一冊。表題作「桜の園」は、流れゆく世の中に対応しきれない家族の悲劇を描き出す。チェーホフ先生の「ワー…