世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】アーリック・ボーザー「Learn Better」

今年67冊目読了。米国先端政策研究所シニアフェローの筆者が、頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップを書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
「学習」という行為に関わるすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『学習の特性は何か?』には「習得とは、あるスキルや知識分野において深いつながりのネットワークを持つこと。効果的学習には不確実性が必要で、学ぶ者はそのあいまいさを受け入れなくてはならない。慣れによる過信が生まれる」。
『人間の特性は何か?』には「脳の自動操縦状態を解除する一番の方法は意味を探すこと。人は自分に貼ったラベルにふさわしい行動をとりやすい。直観が素早く動くことで、事実を本気で考察する機会を得る前に心の中でわかった気になりがち」。
『どのように学習すればよいか?』には「課せられた知識の習得に意味を探す。自分で自分に問題を出したり、自分に説明してみたりするような能動的学習が効果が高い。ミスをした後、自分に『ここから何が学べる?どうすれば成長できる?』と問いかける」。

これは今までの常識をひっくり返され、かなり「目から鱗」でお薦めの一冊だ。「蛍光ペンのラインマーカーは学習を深める意義は少ない」とか、「そうなんだ…」という話がたくさん。学習の6ステップとしては「価値を見出す、目標を決める、能力を伸ばす、発展させる、関係づける、再考する」。これを掘り下げていくことが大事。

とにかく、有益な記述が多いのもこの本の秀逸なところ。「脳が高度な活動をするためには理性と勘定の両方を必要とする」「自分への語り掛けには、二人称『あなた』のほうが一人称『私』よりも効果が高い」「学習の目的は、情報を統合して意味を形成すること」「書くという行為は、思考を減速させ、熟考を促す」「自分の思考を理解するためにはいったん思考から離れてみる必要がある」など、どれもこれも唸らされる。

絶対にお薦めの一冊だ。最後に、この言葉を引用しよう。「自分を一新させなければならない。その努力に終わりがあると思ってはならない」。