世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【読了】シーナ・アイエンガー「選択の科学」

今年105冊目読了。コロンビア大学ビジネススクール教授の著者が、「選択は芸術」という価値観を特別講義で解説した内容に基づいた一冊。 心理学を少し学ぶと必ず出てくる「24種類のジャムと6種類のジャムを並べた時、どちらが売れるか?(正解は後者)」とい…

【読了】井上智洋「人工知能と経済の未来」

今年104冊目読了。駒澤大学経済学部講師の筆者が、AIの進化による2030年の雇用大崩壊という経済変革を予測する一冊。 特化型人工知能(ある能力に特化した対応のみができる)ではなく、汎用人工知能が実現すると「あらゆる人間の労働が汎用人工知能とそれを…

【読了】隠岐さや香「文系と理系はなぜ分かれたのか」

今年103冊目読了。名古屋大学大学院経済学研究科教授の筆者が、文系・理系論争の経緯と現状について詳らかにする一冊。 正直、物凄くかったるい。つらつら事実の羅列が長いし、まとめはないし、筆者の性格なのだろうが、予断を排除するためなのか今後の見通…

【読了】池澤夏樹「タマリンドの木」

今年102冊目読了。1987年芥川賞受賞作家の筆者が描く恋愛小説。 基本的に小説はあまり読まず、特に恋愛小説は読まないのだが、この本は読書家の先達がお薦めしてくれたので読んでみた。なるほど面白いし、世界をまたぐ展開がバブル期っぽく、かつ繋がり方の…

【読了】角田和将「すごい読書術」

今年101冊目読了。Exイントレ協会代表理事にして、速読法を教える筆者が、短時間で記憶に残る最強メソッドを提言する一冊。 なぜ、速読が必要なのか。それに対し「速く読んで、覚えられる。の本質は、早く読んで、自分に必要な情報を取り出すこと。環境と経…

【読了】安宅和人「シン・ニホン」

今年100冊目読了。慶応義塾大学環境情報学部教授、ヤフーCSO、データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長の筆者が、AI×データ時代における日本の再生と人材育成について展望する一冊。 評判は知っていたので、ぜひ読みたいと思っていたが、実際に読…

【読了】佐々木健一「辞書になった男」

今年99冊目読了。NHKディレクターの筆者が、一冊の辞書(明解国語辞典)を作ってきた二人が決別し、「三省堂国語辞典」と「新明解国語辞典」に分かれた経緯を、二人の人生を追う一冊。 もともとNHKBSプレミアムで放送したものを書籍化したのだが、これが実に…

【読了】青柳正規「文化立国論」

今年98冊目読了。文化庁長官、国立西洋美術館長を務めた筆者が、日本のソフトパワーの底力とその活用方法について提言を述べる一冊。 筆者の出自から、おのずと自画自賛的になるのはまぁ仕方ない部分があるが、「文化」というもの、そしてその保全・発展とい…

【読了】デズモンド・モリス「裸のサル」

今年97冊目読了。ロンドン動物園の鳥類学研究部門の長であった筆者が、動物学者の見地から人間とその行動を観察、動物としての人間の在り方を説くと共に、人間本位の社会観や価値観に警鐘を鳴らす一冊。 正直言って、文章は非常に回りくどく、読むのに苦労す…

【読了】岸本裕史「見える学力、見えない学力」

今年96冊目読了。神戸市小学校教諭として、基礎学力を実践・研究の両面から解明し、教育士となった筆者が、「まともな学力を身に着ける」ということのツボを教える一冊。 「生きる力としての基礎的な能力は、第一が基礎的な体力・運動能力。第二が、感応表現…

【読了】近代食文化研究会「お好み焼きの物語」

今年95冊目読了。日本近代食文化史の研究を専業とする筆者(近代食文化研究会、はわかりやすさを優先してつけたペンネーム)が、執念の調査で戦前史を通じてお好み焼きの誕生・進化を解き明かす一冊。 「お好み焼きは大阪や広島の文化」という固定概念を大き…

【読了】阿部昌幸「よくわかる国宝」

今年94冊目読了。帝京大学文学部史学科准教授にして美術史家の筆者が、国宝でたどる日本文化史というまとめ方をした一冊。 国宝検定のときに勉強した際にも感じたのだが、「国宝」を知る・学ぶということは、多元的に日本の文化を知ることに繋がっている。こ…

【読了】ラッセル・フリードマン「正義の声は消えない」

今年93冊目読了。アメリカのノンフィクション作家が、反ナチス・白バラ抵抗運動の学生たちの活動の経緯と顛末をたどる一冊。 ナチスの支配下のドイツにおいて、学生たちが抵抗した白バラ運動。その概要をまとめた本なので読んでみたが、ルビが振られているな…

【読了】山口周「劣化するオッサン社会の処方箋」

今年92冊目読了。電通、ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、組織・人材開発のコーン・フェリー・ヘイグループのシニア・クライアント・パートナーを務める筆者が、生き方が変わってきている現代におけるオッサンの問題点とそのあり方について…

【読了】佐々木敏「佐々木敏のデータ栄養学のすすめ」

今年91冊目読了。東京大学大学院教授で栄養疫学の第一人者である筆者が、氾濫し混乱する食と健康の情報を整理することを意図して食の真実を語った一冊。 データを駆使してさまざまな「常識?迷信?」に迫る、なかなか興味深い本だ。書きっぷりも非常に平易で…

【読了】石田英敬、東浩紀「新記号論」

今年90冊目読了。東大教授と、作家・批評家の二人が、対話形式で行った講義と、それに関する補論を書籍化した一冊。 本の分厚さ以上に、その哲学的思索の分厚さに圧倒される。自分自身、どれだけ理解できているか不安だ、というレベルの高さ。自身の理解力の…

【読了】池澤夏樹「きみが住む星」

今年89冊目読了。エルンスト・ハースの美しい写真に、筆者が旅先の絵はがきのようにコメントを書いて織りなす一冊。 学生時代の友人に勧められて読んでみたのだが、正直、これはあまり心に響かなかった。「同級生に勧めたところ、涙が止まらなかった」との話…

【読了】クロード・スティール「ステレオタイプの科学」

今年88冊目読了。コロンビア大学の副学長を経て、スタンフォード大学心理学教授を務める筆者が、社会の刷り込みは成果にどう影響し、私たちは何ができるのか?を提唱する一冊。 これは良書だ。「ステレオタイプ脅威」ということについて「周囲からステレオタ…

【読了】野中郁次郎、山口一郎「直観の経営」

今年87冊目読了。一橋大学名誉教授、早稲田大学特任教授、日本学士院会員にひて、ナレッジマネジメントを世に広めた知識創造理論の権威と、哲学を専攻する東洋大学名誉教授の筆者が、共感の哲学で読み解く動態経営論を著した一冊。 前半部分は、哲学的に現象…

【読了】木曽功「世界遺産ビジネス」

今年86冊目読了。元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の筆者が、世界遺産登録の実態や、世界遺産に介入する政治問題に警鐘を鳴らす一冊。 筆者が述べるとおり「世界遺産はユネスコの大ヒット作」。だが、「本来の目的は、保護・保存」であるにも関わらず、…

【読了】セネカ「怒りについて」

今年85冊目読了。暴君(とはいえ、最初は名君だった)ネロに仕え、毀誉褒貶を味わったローマの哲学者が、怒りという破壊的な情念の分析と治療法を論じる一冊。 怒りというものについては「怒りとは、害を加えたか、害を加えようと欲したものを害することへの…