世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】池澤夏樹「きみが住む星」

今年89冊目読了。エルンスト・ハースの美しい写真に、筆者が旅先の絵はがきのようにコメントを書いて織りなす一冊。


学生時代の友人に勧められて読んでみたのだが、正直、これはあまり心に響かなかった。「同級生に勧めたところ、涙が止まらなかった」との話もあったのだが、よほど自分の感性が欠落しているのだろうか…(苦笑)。


ともあれ、心に残ったフレーズはいくつかあった。「降った雨が川になって、滝になって、風景全体を洗う。みずみずしい木々の緑が日の光を受けてキラキラ輝くように埃を洗い流す。そのおかげで地球は太陽系でいちばん清潔な星でいられるんだから、雨の日を嫌ってはいけない」は、辛い状況にある中で気持ちを穏やかにさせてくれる。「出発は勇気だ」は、チャレンジ精神を思い出させてくれる。


心が傷ついたときには「本当は、傷のあるガラス越しに見たほうが世界は美しく見えるんだよ。花の色は冴えるし、たった一本の草がきらきら光ることもある」を思い出したい。他者との比較で疲れてしまったら「幸福って人ごとに違うものだと思う」の言葉に癒されたい。ときに迷っている状況では「世界というのは広い広い空とほんの少しの地面から成ってますから、大事なものはみんな空にあります」と上を見るのもいいし、逆に足元を見て「向上心なんていうと、上の方に行きさえすればいいようなことになる。そんなのって、やっぱり寂しいよ」と思うのもいい。


詩って、身体と心で感じるものなんだろうな、と思った。