世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】新野剛志「恋する空港 あぽやん2」

今年191冊目読了。空港を舞台にして、お客様を送る旅行会社の人達の奮闘とその人間模様を描き出す小説。


三谷宏治お薦めで読んだ「あぽやん」が面白く、続篇のこの本を読んだが、これまた面白い。恋愛ネタがメインになっているが、それ以外の人間模様も丁寧に描かれている。前の本では見習いだった主人公が本務となって、厳しい状況に立ち向かうので、非常に感情移入しやすい。


ネタバレ回避で、気になった言葉を抜き出しておく。


「壁にぶつかった時、誰かがぶっこわしてくれないかと僕も思ったりする。でもね、何かが壊れるときは、必ず誰かが犠牲になるんだ。そういう、痛みも考えず、誰か変えてくれないかなって、ひとに頼っているなら、そいつは間違い」


「選び取ったという体験と、選び取ろうという意志。ここにいたいならば、自分で居場所を勝ち取る必要がある」


「人の心なんてころころ変わるもんで、テレビに出ている芸能人に向かってさんざん悪口を言っても、いざ、そのひとと知り合いになったら、言わなくなる。そんなもんだ」


「俺が仕事に求めるのは駆け引きの面白さだ」


「私はいいかげんに生きてきましたけど、やはり死が近づいてみると、命が惜しいんです。自分の命がかわいくてしかたがない。ところがそう思っているうち、自分の命だけじゃなく、ひとの命まできれいに見えてくるんです。なんてきれいなんだって」


「僕の経験上、30代後半から40代の独身OLがいちばんサービスに手厳しい。旅行にホテルにレストランにエステ、サービスにいちばんお金をかけてきたひとたちだからだろう。ただ、サービスを見る目が厳しくなるのはわかるけれど、それをなぜこうも気持ち良く口に出して言えるのか、男の僕には謎だ」