世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】ビル・ジョージ「True North リーダーたちの羅針盤」

今年190冊目読了。最先端医療技術企業のメドトロニック社でCEO兼会長を務めた後、ハーバード大学ビジネススクール前教授、現シニアフェローの筆者が、自分らしさをつらぬき、成果を上げることを提唱する一冊。


そもそも、リーダーとは何か。「真のリーダーシップの源泉は『自分の内面』にある」「時代を超越してリーダーに求められる資質は、常に人格を陶冶することであり、そして常に本物の自分であること」「オーセンティックであるためには、一切、人のまねをしてはいけない。人の経験から学ぶとしても、その人をまねして成功することはない。周りの人たちが信頼するのは、本当の、そして、あなたらしいあなただけ」「本物のリーダーシップとは、部下たちに奉仕すること」は、最近のリーダーシップ論の潮流どおりであり、変化する世の中においてはまさにそうだな、と感じる。


注意すべきこととして「外部からの賞賛ばかりに気を取られ、内なる満足をおろそかにすると、地に足がつかなくなる。現実と向き合うべきだと、厳しい批判や本当のことを語ってくれる人たちを受け入れなくなる」「成りゆき任せでは世間に流されてしまう。自分らしく生きるには、意識的に選択をしなければならない。ときに選択はとてもむずかしく、たくさんの間違いを犯す」「人生を統合するには、苦しい時ほど自制心が必要。人は苦しいとき、周囲に流されやすく、悪い習慣に堕してしまいがち」


心構えとしてどうあるべきか。「試練の真っ只中にいる時が、一番辛い。そのようなとき、この経験から何を学べるのか見当がつかない。試練を乗り切るには、自分自身と人生の目的を信じて、心の底から強さと勇気を引き出して耐えなければならない。そして、辛い時こそ、親しい人たちの支持と支援が必要」「試練に対処する方法は①その出来事に焦点を当てて、自分の人生を遡ってみる。往々にして、他人を責めて怒りを感じる人生だっただろう②記憶や痛みが心の奥深くに残っている間は、何事も起こらなかったかのように人生を生きる③その出来事から学んで、あなたの心の傷を真珠にする」「良き人生というのは、カネと権力の先にあって、それは健康で幸せな生活、知恵、感動、そして感謝とともにある」は、全て行うとなると非常に難しい。少しずつ留意しながらやっていくしかないか…


大事なこととして「重要なのは、サポート・チームとなる人間関係を人生の危機に直面するずっと以前に築いておくこと。こういった人間関係を作るのが、危機が起きるのを防ぎ、トゥルー・ノースを正しい方向に向け続けるための最善の方法」を挙げる。
そのためには「正しく自己を認識すること。どんなリーダーであれ、それが成長していくための出発点」「自己認識と自己承認の一番良い方法は、内省を習慣づけて、率直なフィードバックをもらうこと」が必要と述べる。
実践するためには「『私』から『私たち』への転換には、内省と認知の再構成が求められる。先ず、基本的な質問を自分にしてみる。『あなたは、自分の人生を大切にしていますか?誰に向けて大切にしているのですか?』『あなたは、自分の人生とリーダーシップにどんな目標を定めていますか?』『あなたは、どんな遺産をこの世に残していくと思っていますか?』」「リーダーは、周りから敬意を払われる自分を作らねばならない。仲間たちの敬意を集めるポイントは『人々を対等に扱う』『聞き上手になる』『他の人から学ぶ』『人生経験を共有する』『同じ使命感を持つ』」と提唱するが、どれも耳が痛い…まるでできていない。


個人的には、「自分は犠牲者だと思うと、間違った方向へ強く引っ張られる。誰でも苦しみに支配されたくはないはず。それは、自分の人生に責任を持つのとは真逆のこと」に心を撃ち抜かれた。本当に、気をつけないといけないな…


分厚い本だが、読み応え十分。