今年173冊目読了。筆者の芥川賞受賞作の表題曲と、その前回に芥川賞候補になった2本がまとまった一冊。
もともと、変なタイトルだなぁと思っていた小説で、三谷宏治のお薦めで読んでみたが、ザラザラしつつも少し安心しつつ、それでも最後にトゲが残る、というような奇妙な読後感。
登場人物は、概ね何かしら「生きづらさ」を抱えている。また、主人公の親が、いずれも何らかの癖を抱えていて、かなり異常な家庭を形成しつつも、それでも自分なりの親らしさ、愛情をもって子供に向き合う姿は、自分も不器用な人の親なので、なんとなく(共感はできないが)気持ちはわからんでもない、という心持ちになる。
「濃い霧に包まれると、狭いような広いような気持ちになるね」「人と人には関係というものがあって、それは続いたり、盛り上がったり、だらだらしたり、ときには終わったりするものだ」の記述あたりは、何となく胸に迫るものがある。が、全般的にはモヤモヤ感が残る。まぁ、それを味わう、人生とは割り切れないもの、家族にはその数だけの形がある、ということなのかもしれないが…