世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】熊平美香「リフレクション」

今年164冊目読了。昭和女子大学キャリアカレッジ学院長、一般社団法人21世紀学び研究所代表理事を務める筆者が、自分とチームの成長を加速させる内省の技術についてまとめた一冊。


とても読みやすいが、実践が難しい。リフレクションワークをしながら深めていくことで理解していく、という流れなんだろうな。


リフレクションの基本として「『自分を知る』『ビジョンを形成する』『経験から学ぶ』『多様な世界から学ぶ』『アンラーンする(学んだことを手放す)』」としたうえで「判断や意見を、『意見』『経験』『感情』『価値観』の認知の4点セットに切り分けて可視化する」
「成功しても、失敗しても、いずれにしても、経験したからこそ知っていることがある、経験を知恵に変えることができる」などを挙げる。


振り返らずに進み続けるリスクとして「①他人に伝授できず、進化・成長が止まる②過去の成功体験にしがみつく」は、なるほど納得だ。


自分のスイッチを入れるために「日々の仕事や生活の中で何かに不満を持ったときには、なぜ違和感や不満を感じるのか自分に問いかけ、満たされていない動機の源が何なのかを特定してみる」「クリエイティブテンションを目覚めさせるためには、動機の源を起動させる必要がある。自分が大切にしている価値観である同期の源がサーチライトとなり、現状に対する不満を察知し、自分が望む『ありたい姿』に意識を向けるエスコート役になる」のあたりの提言も、そうだとは思うが、実践が難しい…


物事の捉え方で参考にしたいのは「軸がぶれていないか、信念、行動、態度、思考、感情の一貫性を点検する」「我々の脳は、ネガティブな感情に蓋をしてしまうと、ポジティブな感情も、オフ状態になるように設計されている。だから、ネガティブな感情も認知の4点セットでしっかりと認識し、味わったうえで切り換える」「驚きや違和感に遭遇したら、思考の柔軟性を磨くチャンスと捉える」「『なぜそう考えるのか』と自問する習慣を促進し、部下のメタ認知力と深い思考力を育む」のあたり。


大事な心構えとして「対話の場で、反対意見に遭遇したら、あなたの意見に反対している訳ではなく、その人は意見の背景にある大切な価値観を守っているだけ」「一般的に私たちは、人柄を褒められることが一番うれしい。その次に、業績。最後が持ち物」のあたりは、留意しておきたいところ。


チームという観点では「組織のパーパスを探求する究極の問いは『組織がこの地球から消えてしまったら、この世界は何を失いますか?』」「機能しているチームの条件は、『信頼関係の確立』『自然な対立』『コミットする姿勢』『実行に対する責任感』『結果の達成』」「多様性を包括する心得は①自分も多様性の一部である②事実と解釈を混同しない③フラットでオープンである④対話する」を重視したいと感じた。


筆者も言及しているが「学びは得ることが目的ではなく、活かすことが目的」というわけで、いかにこれを実践していくか、が大事。読みやすいが、手ごわい本だ。