今年137冊目読了。今年、すっかりハマったベストセラー作家が、不思議な福祉士と彼を取り巻く人々が起こす不思議な物語。
偉そうな道徳を述べるわけでもない。述べたとしても、あっさりひっくり返す(笑)。それでもなお、なるほどなぁと思ったり、ほっこりしたり。筆者の筆の冴えを感じる短編小説集だが、そこは伊坂幸太郎、短編それぞれが微妙に絡まって長編になっている、という王道の楽しさがある。
ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。
「予想外も予想外、人生いたるところに驚きが隠れているものだな」
「子供は親を許すことに慣れている、というのはありそうなことだったし、『親は子供を幻滅させてばかりいる』ということは、僕が常日頃感じていることとも一致した」「『復活』それは、とても良い響きの言葉に感じた。力強く、希望に溢れているし、可愛らしさすら含まれている気がした」
「いつだって黄金時代は、その時には気がつかず、後になってはじめて、『あの時は良かったな』とわかるもの。もしくは、まだ見ぬ未来にだけ存在している、ということか」
「人っていうのはさ、ショックから立ち直ろうとする時には、自分の得意なやり方に頼るんじゃないかな」
「夫婦の揉め事を突き詰めていくと、たいていが同じ原因にぶつかる。『意地』と『我慢』だ」
「そもそも、大人が格好良ければ、子供はぐれねえんだよ」