今年12冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、6本の短編と、それを編みこむようにまとめる短編1本からなる小説。
読みやすいのだが、後付けでまとめたということで、伏線回収の巧みさが活かされきっていないのが少し残念。伊坂幸太郎ファンとしては、ちょっと物足りないなぁ。
ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。
「生きていく私たちの前に、いつも立ち塞がるのは悩みや問題ですよ。悩みを抱えて、その答えなんてどこにもないことにげんなりしながら、日々を生きている。そんなものです」
「長い会議で、ようやく意見がまとまる、という際、どさくさに簡単な追加事項を出しても、参加者は疲労していることもあって、再び議論をやり直そうとは絶対に言い出さない。ご破算にする勇気もない。そこが、チャンスなのですよ」
「みんな自分の命が、人生が心配で、一番大事に決まってる。どんな事故や事件が起きても、人が真っ先に思うのは、『それって私に関係するかしら』だ」
「戦争反対なのか、それとも増税反対なのか。どの時代のどの日も、『戦前』で、『増税前』だ。どちらも終わりがない」
「仕組みはどうにか作れる。問題はそこで働く人材だ」
「汚くするのは簡単。そのまま生きていればいいだけ。努力しなくても、汚くなるし、荒れていくわけ。綺麗な場所は、そこを誰かが綺麗にしたからなんだよ」
「ちょっと砂糖があるだけで、苦い薬も飲めるのよ。どんな花にも蜜がある、楽しみ方を見つければ、つらい仕事も楽しくなるの」
「どんなことも思ったほど悪くない。翌朝になれば改善されている」「大事なのは、冷静でいることと親切でいること」
「誰の話が正しいのかは定かではない。何が真実かはわからないというか、それぞれの真実があるというか」