世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】伊坂幸太郎「砂漠」

今年124冊目読了。ベストセラー作家である筆者による、学生生活の関わりを描くことで人の縁の妙を味わう青春小説。


どっぷりとハマっていて、個人的には『伊坂幸太郎にハズレなし』と思っていたのだが、これはなんだかしっくりこなかった。イマイチ感が強い。期待度の高さを考慮しても、うーん…という感じだ。まぁ、青春小説を読むには、アラフィフのオッサンの心は荒み、疲れているのかもしれないが…やはり、本にはタイミングというものがあるんだな。


以下、ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。


「人間は、他人に自分の心を見る」


「もしかすると強靭さとは、自信や力や技などよりも、穏やかさに宿るのかもしれないな」


「驚かないといけないのはね、一人の人間が、本気で伝えたいことも伝わらない、っていうこの事実ですよ」


「売れる小説の条件は、ユーモアと軽快さと、知的さだ。洒落ているだけで、中身はない」


「逃げるための理屈をこねてはいけない」


「みんな正解を知りたいんだよ。正解じゃなくても、せめて、ヒントを欲しがってる」「でも、結局さ、新興宗教とかに頼らず、『自由演技って言われたけど、どうすればいいんだろう』って頭を掻き毟って、悩みながら生きていくしかないんだ」


「おだてて、屋根に上らせて、飽きたら梯子を外すのが、マスコミや野次馬の趣味だ。困惑して、屋根からそいつが落ちるのを、にやにや見て、楽しむんだ」


引用とのことだが「人生にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである」は、なかなか心に響く言葉だし、この小説の根幹を為している気がする。