今年127冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、2年前の事象と現在の事象をクロスさせながら真実が繋がっていく様子を描き出す一冊。
これも安定の面白さ。2人の主人公の人生が、様々な登場人物によって縒り合わさるように進んでいく様は、さすがだと感じる。割合、スカッとするオチが好きなので、ビター感ある展開は少し好みではないのだが、それでも堪能できた。そして、何よりそのタイトル。これに込められた意味を知ると、筆者の頭の中はどうなってるんだ?と言いたくなるくらいに見事。
ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。
「どうせ、いつかはみんな死ぬんだし、ポジティブでないとやってられないよ」「生まれ変わりの長い人生の中で、たまたま出会ったんだ。少しの間くらいは仲良くやろうじゃないか」
「間違っているかどうかなんて、一概には決めつけられない」「世の中は滅茶苦茶。そうだろう?」
「飽きたり、嫌になったり、怖くなったりする前に、思いついたことは、すぐにやったほうがいいよ」
「夜は人を残酷にするし、正直にもするし、気障にもする。軽率にするのよねえ」
「置かれている状況が似ていると、仲間意識が芽生えるか、反撥心が生まれるか、そのどちらかだ」
「人というものは、行動すべき時に限って、億劫がるのかもしれない」「人というものは、慎重にことを運ぶ時に限って、行動を急いでしまうのかもしれない」
「僕は、自分こそが主人公で、今こうして生活している『現在』こそが世界の真ん中だと思い込んでいた。けれど、正確には違うかもしれない。主役は僕ではなくて、彼ら三人だ」
「この国はね、自分だけは平気だと思い込んでいる馬鹿で溢れてるんだよ。甘えだね。甘えの国だよ」