世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】伊坂幸太郎「死神の精度」

今年139冊目読了。一週間の調査の後、対象者の死に可否の判断を下すという『死神』の目から人間社会を描き出す不思議な小説。


伊坂幸太郎らしい、安定の面白さ。疲れていても、なんとなく元気が出る。死を描いているにもかかわらず、そんな心境にさせてくれる不思議な小説。


ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。


「人の死には意味がなく、価値もない。つまり逆に考えれば、誰の死も等価値だということになる」「人間というのは実に疑り深い。自分だけ馬鹿を見ることを非常に恐れていて、そのくせ騙されやすくて、ほとほと救いようがない」


「真剣な発言をユーモアだと誤解されるのは、不本意だった。だいたいが、どのあたりが可笑しいのか、自分が理解していないものだから、次の会話に生かすこともできない」


「人間は不思議なことに、金に執着する。金のためであれば、たいがいのことはやってのける」


「人間というのはいつだって、自分が死ぬことを棚に上げている」「人間は、幻滅を感じるのが、つらい」「人間の生きる歩みはいつだって、えっちらおっちらだ」


「人間は、何を見ても人生と結びつけるのだ」「一喜一憂してても仕方がない。棺桶の釘を打たれるまで、何が起こるかなんて分からないよ」


「好きでもないことを必死にやる。仕事とはそういうものだ」