今年46冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、中学生の友情や日常から、深い精神世界を描き出す小説。
「中高生新聞」にお薦めされていたのを、娘が「読みたい!」と言ったので借りてきた。そして、森絵都「カラフル」が読みやすいのに面白かったから、ちょっと拝借して(というかもともと借り物)読んだら、これが大当たり。子供向けと思っていたら痛い目に遭う。そんな面白さがある。
ネタバレ回避で、興味深いフレーズを書き出すが、本当に面白いので、ぜひ、一読をお薦めしたい。
「いざってときに人間がなにするかなんて、そんなのだれにもわかんねえよ」
「ほんとうに絶望的ななにかとむかいあったときは怒っても泣いてもむだなのだ、なげいてもかなしんでもなんの足しにもならないのだと、あたしらはじめて肌身に感じた」
「堕ちた政治家や金もちや、はやらないスーパーの経営者なんかと自分をくらべないほうがいい。自分は自分で生きていかねえと、今の時代、すぐに自分を見失っちまう」
「あんたもあいまいにおかしいんだよ」「人間、よくなるよりも悪くなるほうがらくだもんなぁ」「だれだって自分のなかになんかこわいもんがあって、それでもなんとかやってるんじゃないのかよ」
「どうせオレはおせっかいだよ。人のことばっか気にしすぎてんだよ。でもな、オレから見りゃおまえたちみんな、自分のことばっか気にしすぎてんだよ」
「人より壊れやすい心にうまれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時にうまれもってるもんなんだよ」