今年77冊目読了。オランダのマインドフル・ティーチング・アカデミーの創設者であり経営者でもある筆者が、1日3分の「くらべない子育て」でクリエイティブな脳と心を育てることを提唱する一冊(エクササイズCD付き)。
マインドフルネスについては、ビジネスシーンでも使われ始めているが、この本は子育て、及びそれとともに親が育つことも提言しており、その平易な書きっぷりがありがたい。
マインドフルネスについて「なによりも重要なのは、気づき。自己への気づきと他者・世界への気づきを深く育てる方法を学ぶこと」「最適な学習と感情のバランスを保つために欠かせないトレーニング」「価値判断を入れずに、意図的に、いまの瞬間に意識を向けることから生じる注意や気づき」と定義する。
身体については「おなかに注意を向けているあいだは、あたまの考えにとらわれることがありません。おなかはしいんと静かで、おだやか」「呼吸はバロメーターとして、私たちの内側と外側の世界を映し出してくれる」と述べる。
押さえておくべき事としては「私たちは自分の経験に注意深く気づいているとき、いまにいることができる」「いま、自分になにが起きているのかということに気づくことで、こころにエネルギーがたくわえられます」「意識を集中させ、そそろの波をあるがままに見つめてください。そうすることで、事実や状況に基づくよい選択ができ、それに応じて行動することができる」「感じていることについて、考えるのではなく、その感覚に注意を向けることが大切」「どんな気持ちも、抑圧したり、変えたり、すぐに言葉で表現したりする必要はありません。その気持ちを感じ、やさしく注意を向けるだけで十分」「思いやりは、こころに触れ、こころを育て、自分と他人を信頼することを教えてくれます」などを挙げており、体感的、直感的にはそうだろうなぁ、と感じる。
子育てについての言及も多いが、「子育てのような大変な仕事をするとき、リラックス効果のある基本的要素は、いまにいること、子どもの立場から見て理解すること、がまんするのではなく親として子どもや自分自身の感情、考え、行動に価値判断を入れずにありのままに見る」「子どものこころに嵐が吹き荒れているときには、親がそれを否定しないことが大切。否定しないことで、子どもにたいし、嵐を拒否せず、嵐に気づくよう教えることができる」のあたりが心に響いた。
筆者が最後の方で書いている「現実を操りたいからではなく、ものごとは遅かれ早かれ変わる、という智慧と知識を持って、イメージを使う。これによって、状況にたいする自分の見方が変わることもあれば、状況そのものが変わることもある」「大きな願いでも小さな願いでも、それをかなえるには、落ち着きと信頼と手放すことが重要な要素になる」が鍵なのだろうが、いわば筋トレのように継続的に取り組んでいかないと、なんだろうな。心の筋トレってところか。継続しないと、知識として持っていても使えない。そんな気がする。
一つ留意したいのは「怒りは、欲しいもの(注目、楽しみ、自分のやり方など)が得られないこと、欲しくないもの(けんか、悪い成績、緊張、失敗、嫌いな食べ物など)を得ること、気持ちを傷つけられること(人から、神経質すぎるとか、へただから仲間にいれない、などとひどいことを言われたり、陰口を叩かれたりする)、に反応することから生じる」ということ。怒りの感情を扱うのが苦手な身としては、使いたい知識だ。