世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】島村華子「自分でできる子に育つほめ方叱り方」

今年75冊目読了。オックスフォード児童発達学博士である筆者が、モンテッソーリ教育とレッジョ・エミリア教育をベースに、親も子も笑顔になる「誘導しない子育て」を提唱する一冊。


凄いことが書いてあるのか?と思いきや、愛情をもって見守って育てろ、ということに収斂されるような中身。それを手変え品変え話してはいるが、「それができないから苦労してんだよ、親は!」と思うような手法論ばかり。図書館でなかなか予約が回ってこなかったが、そのぶん、がっかり感が強くなってしまった…


基本スタンスとして「子どもを独立した市民として見た場合、大人は子どもの『自分でやってみたい』という自主性を伸ばすために、わき役に回り、子どもが探究心を満たせるような環境づくりに励む」ということを提唱する。
そして「無条件の接し方では、考え方や行動の理由をまず考える。条件つきの接し方は、ただ行動だけを見て判断する」として、無条件子育ての原則として「①ほめ方と叱り方に気をつける②子どもに対する見方を見直す③子どもにとって良きリーダーでいる④子どもの要求を考え直してみる⑤子育ての長期的なゴールをもつ」というが、そう思っていてもついできない、というのが親の悩みなわけで。


ほめ方のポイントは「①成果よりも、プロセス(努力、姿勢、やり方)をほめる②より具体的にほめる③もっと質問する」。叱り方のポイントは「①ダメ、違う、をできるだけ使わない②結果ではなくプロセスや努力に目を向ける③好ましくない行動の理由を説明する④親の気持ちを正直に伝える(行動+感情+影響+提案)」を挙げる。
その前提としての傾聴のポイントは「①ボディランゲージ(表情、アイコンタクト、姿勢)②無条件の受容精神(興味、態度、信頼、分離)③反映力(反復、言い換え、明確化、要約)④コミュニケーションのバリケードに気をつける」とするも、その手法論を使えない親のプレッシャーに寄り添っていないので、実践できる感が全くない。


子どもとぶつかる習慣は「批判する、責める、文句を言う、脅す、罰する、目先の褒美で行動をコントロールする、がみがみ小言を言う」。子どもとつながる習慣は「応援する、励ます、傾聴する、信頼する、尊重する、違いを話し合う、受け入れる」。というのも、まぁ当たり前といえば当たり前。


子育てにおける罰の問題は「①より攻撃的、反発的な態度を生み出す②力を使った問題解決方法が正当化される③親子関係にヒビが入る④罰を与えても反省を促さない」というのも、今更感は否めない。


最後のほうになって「喜び・興奮・驚きなどといった感情を、大切な人と一緒にわかちあうことで、自分の居場所があるという感覚が生まれ、幸せな気持ちになる」「『ふつう』に『みんなと同じ』ようにふるまうべきという考え方は、自己の社会におけるアイデンティティを保つために日本では根強く残っている。同調圧力のストレスの中、親は全力でがんばっている」「親自身が幸せであれば、子どもに与えられることも増える」ということを書いてあるのが少しヒントにはなるだろうが、子供のケアばかり大事にして、親側のケアがまったく抜け落ちている、という感じ。わざわざ読むまでもない、という本だなぁ…