世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】大野誠一、豊田義博、河野純子、ライフシフト・ジャパン「実践!50歳からのライフシフト術」

今年106冊目読了。ライフシフト・ジャパン代表取締役CEOと、取締役と、執行役員の筆者が、葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人の実際の人生から、ライフシフトの実践について提唱する一冊。


リンダ・グラットン「ライフシフト」が出版されてから、話題になっていた「人生100年時代をどう生きるか」。それに対して、実例を通してわかりやすく伝える本。確かに、こういった人生は凄いと思うが、いざ自分がやるか、となると、二の足を踏むなぁ…


そもそも、ライフシフトをする時には「『できるから』『やったことがあるから』ではなく、『成長しそうだから』『儲かりそうだから』でもない、その人固有の理由や動機に基づく回答があるかどうかが問題。それが価値観。その人自身の心の中から湧き上がってくる『○○を大切にしたい』『○○が心から好きだ』『○○が気になって仕方がない』という想いが、何をするかを導く」ということを大事にするべき、とする。


自分自身の価値軸は8つに分類されるとして
①人を育てる:長い人生経験こそが一番の武器。学び直すことでより自身を得ることができる
②好きを仕事に:趣味と仕事の違いは顧客満足。楽しみながら、プロとして品質を磨くことが大切
③社会に貢献:介護・福祉、地域社会への貢献が身近な分野。社会起業やボランティアの道も
④手に職つけたい:長期的に取り組めば必ずプロに。これまでの経験との掛け算で自分らしい強みを発揮
⑤海外とのかけはしに:法整備が急ピッチで進む訪日外国人向け市場はチャンスも豊富
⑥故郷に帰る:単身Uターンや妻の故郷への移住も選択肢。地方経済は人材を求めている
⑦住みたいところへ:自由な発想で済みたい場所にアプローチを。まずは2拠点居住から始める方法も
⑧家族とともに:夢を共有し、力を合わせられる”家族経営”。人生100年時代の起業の一つのかたち
を挙げる。


ライフシフトの底流にある4つの法則として
第一法則:5つのステージを通る
○心が騒ぐ:心の動きから逃げずに、受け止める→次の行動への原動力
○旅に出る:立ち止まらずに前に向き、新たな何かを獲得する→次の進路発見の機会をもたらす
○自分と出会う:出来事を通して気づく→自分の中に、すでに出会うべき自分がいる
○学びつくす:何を学ぶかに気づけば、人は学ぶ→日本人は、実は学び好きである
○主人公になる:過去を活かし、過去を捨てる→仕事だけではなく、人生全体の「主人公になる」
第二法則:旅の仲間と交わる
第三法則:自分の価値観に気づく
第四法則:変身資産を活かす
だと述べる。


実際、やるとなると「『ともだち』と『支援者』が常に寄り添っている」が大事だというが、それが難しいんじゃないの?と、やや斜めに読んだ部分は否めない。


ただ、「旅立ちのしかた、旅の中身はいろいろだが、とにかく一歩踏み出す、そして、先が見えない状況をきちんと自分の中で受け入れる。そして、その行動やモラトリアムの状態が、次なる進路を見つける機会をもたらす」というのはそのとおりだと感じる。勇気と怖さが混在した不思議な本だが、一読の価値はある。