世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】藤原和博「僕たちは14歳までに何を学んだか」

今年113冊目読了。教育改革実践家にして、東京都初の民間校長を務めた筆者が、学校では教えてくれない新時代の必須スキルを紹介する一冊。


前田裕二、キングコング西野、ホリエモンら「時代の寵児」たちにインタビューをしながら、という実に独特な掘り下げ方をしているのだが、筆者らしく上手にまとめている。こんな教育本はなかなかないぞ。


現代を生きる子に育てるには「ユニークな特徴を持った子に育ってほしいなら、その孤独に耐えるだけの『根拠のない自信』を育ててあげなければならない」「自分の子の精神的基盤に、義務教育を修了する15歳くらいまでに、最低限『根拠のない自信』が芽生えていればよい」が大事だ、と説く。


そして「親の役割は、見返りを求めないパトロンみたいなもの。よく『わが子に投資』というけれど、投資するのではなく、あげる」ことだ、とホリエモンが喝破しているあたりはけっこう納得だ。


勉強のみならず、子育てでもビジネスでも通じることとしては「ほめられることと、教える側になるってことは、成績が伸びるのにすごく効果がある」「『自分がいいと思っているもの』を一方通行で伝えても、なかなか人の心は動かない。それよりも、『相手がいいと思うもの』が何なのかを真剣に考えて伝えていかないとだめなんだ」のあたりが面白い。


成功者からの学びを、筆者は「ユニークな仕事で、その業過構造や人々の行動が変わってしまうような突出した業績を上げている人に共通するのは、『情報処理力』が高い(仕事が早くて正確)だけでなく、『情報編集力』も高い(アタマが柔らかく未知の問題に対する解決力がある)。それに、10歳までにちゃんと遊んだ人。遊びは『情報編集力』の基盤を作る」「世界観を作り、変更をかけるのは『情報編集力』」と定義。
その「情報編集力を鍛えるのは5つのリテラシー。①コミュニケーション(人の話が聴ける)②ロジカルシンキング(筋を通せる)③シミュレーション(先を読んで行動する)④ロールプレイング(他人の身になって考える)⑤プレゼンテーション(気持ちや考えを表現できる)」と分類する。


では、それがわかったとして、結局、何が有用なのか。「誰かに強烈に愛された経験のある人は一歩を踏み出すことができる」「直接の利害関係のない第三者との関係を豊かにする」「10歳までにいかに遊んだかが大人になってからの『情報編集力』の基盤を作る」という指摘は、今の難しい時代だからこそ大事なように感じる。


今の時代には「『希少性』を磨くことこそが、ネット社会からあなたの子どもとあなた自身が他者からアクセスされ、味方を増やす条件になる」とはいいつつ、「親は子に育ててもらうようなものなのだ」という原理原則は変わらない。実に難しい時代だが、それだけにやりがいをもって子育てをしたいと感じさせられた。