世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】盛田隆二「夜の果てまで」

今年101冊目読了。ベストセラー作家の著者が綴る感動の恋愛小説。


一筋縄ではいかぬ展開、心の揺れ。これまた畏敬する先達にお薦めをいただいて読んでみたが、なるほどこれは筆者の「残りの人生で、今日がいちばん若い日」よりも深みがあるな。ただ、小説だから仕方ないのだが、あまりにもところどころのぶっ飛び過ぎが気になるが、それでも細かい筆致でグイグイ読み続けさせるというのはやはり筆の力なのだろう。


最初から失踪宣告(いわばネタバレ)という驚きの展開で、ネタバレも何もないようにも感じるが、そこはやはり読んでのお楽しみ、ということでネタバレ回避。気になったフレーズのみ抜き出してみる。


「一か月先のことはおろか、一週間後のこともわからない。だが、それはすべて自分自身で決めることだ。恐怖が頭の中でざわめき、水に垂らしたインクのように、先の見えない不安が胸の中に広がっていく。自分の意志で自分の生き方を決めることがこれほど恐ろしいことだと、いままで知らなかった」


「『おとなは勝手だよな、自分のことしか考えていない』『なに甘えてんだよ。だれだって自分がいちばん大切、当たり前だろうが』」


「人生なんてほんと短いよ。大切なものを見つけたら、ぜったいに放しちゃいけない。そんなもの、めったにないんだから」


「生きていれば人は何度も人生の岐路に立ちます。そのたびに自分の意志で進むべき道を選ぶことができる。でもほとんどの人がその権利を放棄しています。どうしてなんでしょうね。大隊ぼんやりしていて、自分が岐路に立っていることさえ気づかない。選ぶことを怖がっているんです、無意識のうちに。人生、一度しかありません。世間体や他人の思惑にゆだねて生きていくなんて、そっちのほうがもったいない話です」