世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

2023-01-01から1年間の記事一覧

【読了】竹谷靱負「日本人は、なぜ富士山が好きか」

今年56冊目読了。富士山御師の末裔にして、理学博士・拓大名誉教授の筆者が、日本人が富士山を誇りたがる理由について、社会文化面から掘り起こすことを企図した一冊。 筆者の出自が出自だけに、あまりにも富士礼賛がすさまじいが(苦笑)、個別の読み解きや…

【読了】仲尾宏「朝鮮通信使」

今年55冊目読了。日朝関係史を専門とし、京都造形芸術大学客員教授の筆者が、江戸日本の誠信外交を司った朝鮮通信使について掘り下げた一冊。 壱岐対馬に関心が強くなって読んでみたら、なかなかこれが面白い。国境の島であるが故に、しっかりと日本史が息づ…

【読了】宮脇淳子「世界史のなかの蒙古襲来」

今年54冊目読了。東京外語大・常磐大・国士舘大・東京大学などの非常勤講師を歴任した筆者が、モンゴルから見た高麗と日本について考察する一冊。 壱岐対馬に関心がわくと、いろいろ読んでみたくなる。その一環で読んでみたが、いささか思想主張が激しすぎて…

【読了】司馬遼太郎「街道をゆく 壱岐・対馬の道」

今年53冊目読了。ベストセラー作家の、歴史や文化を考えながら街道を歩いて考察するという、紀行文と歴史考察の入り交じったシリーズ。 壱岐対馬に興味がわいてきたので読んでみた。20代の頃は司馬遼太郎が大好きだったが、最近はその書きっぷりがあまりにも…

【読了】小林美希「年収443万円」

今年52冊目読了。就職氷河期を経験したフリージャーナリストの筆者が、安すぎる国の絶望的な生活をインタビューからあらわにする一冊。 筆者が実際の取材から考察した「平均年収では”普通”の暮らしができない国」「平均年収があっても、多くは家計がギリギリ…

【読了】永井陽右「共感という病」

今年51冊目読了。テロ・紛争解決スペシャリストの筆者が、いきすぎた同調圧力とどう向き合うべきか?について考察する一冊。 畏友が薦めていたので読んでみた。なんでテロ・紛争解決スペシャリスト?と思うが、意外にも?非常にわかりやすく、引き込まれた。…

【読了】原武史「思索の源泉としての鉄道」

今年50冊目読了。明治学院大学名誉教授の政治学者が、東日本大震災をきっかけに被災地の鉄道をめぐり、様々な思索をめぐらせる一冊。 図書館でたまたま手にしたので読んでみたが、いまいちだったなぁ。災害に関する考察がやや鉄道愛によりすぎている(冷静さ…

【読了】辻村深月「傲慢と善良」

今年49冊目読了。ベストセラー作家が、婚活という切り口によって人生そのものの本質、自分が判断して生きるという確信に迫る一冊。 畏敬する先達が薦めていたので読んでみたら、なるほど、これは凄まじい読み応え。これは本質を突いているなぁ。同じ光景が全…

【読了】宮本常一「私の日本地図15 壱岐・対馬紀行」

今年48冊目読了。日本の民俗学者である筆者が、昭和20~40年代に訪れた壱岐・対馬の実際の風俗と状況を書き記した一冊。 ウクライナ紛争で明らかなとおり、国境に近い場所は様々な要素を抱えざるを得ない。そんな興味で読んでみたところ、なかなか深くて面白…

【読了】西ケ谷恭弘、日竎貞夫「名城の日本地図」

今年47冊目読了。月刊歴史手帖の編集長と、日本写真家協会会員の筆者が、日本の名城100を案内する一冊。 後に制定される「日本100名城」とは別に、独自で選んでいるので、意外と違いが面白い。 まず、城の立地を考える際に「河川と街道による運送は、城の立…

【読了】石郷岡建「杉原千畝とスターリン」

今年46冊目読了。毎日新聞のモスクワ支局ソ連・ロシア特派員を二度務め、現在は日本大学国際関係学部非常勤講師、麗澤大学非常勤講師の筆者が、「ユダヤ人をシベリア鉄道に乗せたソ連共産党の極秘決定」について読み解いていく一冊。 人道主義の極みのように…

【読了】岡本純子「世界一孤独な日本のオジサン」

今年45冊目読了。コミュニケーションストラテジストの筆者が、人々の精神や肉体をむしばむ『孤独』の現状や背景を探っていく一冊。 アラフィフで、日本のオジサンど真ん中の自分としては、これは読んでおかないと・・・と思って手にした本。納得の記述が多く…

【読了】酒井敏「カオスなSDGs」

今年44冊目読了。元京都大学大学院人間・環境学研究科教授にして、静岡県立大学副学長の筆者が、「ぐるっと回せばうんこ色」という刺激的な副題とともに、SDGsのモヤモヤを解き明かす一冊。 タイトルは刺激的だが、かなりきれいに伏線回収される(新書にこ…

【読了】ハル・グレガーセン「問いこそが答えだ!」

今年43冊目読了。マサチューセッツ工科大学リーダーセンター所長にして、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院上級講師の筆者が、正しく問う力が仕事と人生の視界を開く、と解く一冊。 まず、「問いというのは、そもそも自分の意見を強く言い立てるも…

【読了】松浦弥太郎「自分で考えて生きよう」

今年42冊目読了。文筆家、クリエイティブディレクターの筆者が、読売新聞に連載したエッセイをまとめた一冊。 畏敬する先達がお薦めしていたので読んでみたら、なるほどこれは面白かった。そして、自分がモノに対する執着が極端に薄いことも改めて認識した・…

【読了】鴻上尚史「人間ってなんだ」

今年41冊目読了。作家・演出家・映画監督の筆者が、連載エッセイを通じて現場で人間観察をしてきたことをまとめた一冊。 鴻上尚史のエッセイは視点が独特かつ鋭いので楽しい。そして、この本も得意の洞察の深さが活躍する。以下、気になったフレーズ。 「シ…

【読了】トニー・サルダナ「なぜ、DXは失敗するのか」

今年40冊目読了。コンサルティング会社のトランスフォーマット社代表取締役の筆者が、「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデルを提唱する一冊。 DXという言葉は踊れど、全然実装されない・・・という疑問から手にしてみた。なるほど、これは勉強になる。 そ…

【読了】汐見夏衛「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」

今年39冊目読了。もともとケータイ小説だったのが、単行本化した一冊。 畏敬する先達がおすすめしていたので、何気なく読んでみた。非常にさらっと読めるが、中身は戦争について激しい主張をする一冊だ。 ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。 「…

【読了】リチャード・パワーズ「惑う星」

今年38冊目読了。ピュリッツァー賞を受賞したアメリカの作家である筆者が、生命への深い関心を、不思議な親子のやり取りを通じて描き出す小説。 最初は、ただストーリーを掴みにくくてしんどかったが、途中から一気に引き込まれた。終盤は心を打たれて、脳髄…

【読了】高尾泰朗「ANA苦闘の1000日」

今年37冊目読了。航空や運輸、マクロ経済などを担当する日経ビジネス記者の筆者が、コロナ禍で売上が蒸発した「青い翼」ことANAが生き残りをかけた1000日の全記録をまとめた一冊。 自分自身も、コロナ禍で苦しんだ会社にいるが故に、非常に興味深く読んだ。…

【読了】立花文子「なんとかなるわよ」

今年36冊目読了。柳川立花家15代鑑徳と艶子の一人娘として生まれた姫様が、テニス日本チャンピオンに輝き、転じて戦後には女将として逞しく時代を生き抜いた自伝。 筆者が開いた料亭「御花」と関わる縁をいただいたことから読んでみたが、その波瀾万丈ぶりは…

【読了】本田哲也「パーセプション」

今年35冊目読了。本田事務所代表にして、数々の企業の戦略PRに携わってきた筆者が、市場をつくる新発想についてまとめた一冊。 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の講義を受けた縁で、伊藤羊一学部長がお薦めしていたので読んでみたら、なるほどこれは凄…

【読了】染谷昌利「副業力」

今年34冊目読了。株式会社MASH代表取締役のパラレルワーカーである筆者が、いつでも、どこでも、ローリスクでできる「新しいマネタイズ」を解説する一冊。 筆者と、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の講義で知遇を得たので読んでみた。自分自身はまるで…

【読了】芝哲也、上野郁江「創造的思考のレッスン」

今年33冊目読了。デザイン事務所Cauz代表と、株式会社エディットブレイン代表取締役の筆者が、新しい時代を生き抜くビジネス創造力の鍛え方を解き明かす一冊。 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で筆者の講義を受けたことで興味を持ったが、なるほど非常…

【読了】ジェフ・ホーキンス「脳は世界をどう見ているのか」

今年32冊目読了。神経科学者にして起業家、神経科学とAIの研究を行うヌメンタ社の共同創業者、チーフサイエンティストの筆者が、知能の謎を解く「1000の脳」理論を提唱する一冊。 とにかく衝撃的な内容。こんなふうに脳が世界を捉えている、というのは驚きし…

【読了】メアリー・C・ブリントン「縛られる日本人」

今年31冊目読了。ライシャワー日本研究所社会学教授の筆者が、「人口減少をもたらす『規範』を打ち破れるか」という視点で少子化問題とその根底にある規範に切り込む一冊。 これは読み応え十分。意外な事実も知ることができるし、なかなか深い。 現状の日本…

【読了】アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ「絶望を希望に変える経済学」

今年30冊目読了。MITフォード財団国債記念教授と、MITアブドゥル・ラティフ・ジャミール記念教授のふたり(いずれも2019年ノーベル経済学賞受賞)が、社会の重大問題をどう解決するか、について提言した一冊。 山口周がお薦めしていた、という一点によって手…

【読了】町田そのこ「星を掬う」

今年29冊目読了。母に捨てられた子が30歳になる頃に、記憶障害に陥っていく母親と邂逅し、不思議な運命の糸をたどっていく一冊。 畏敬する先達がお薦めしていたので読んでみたら、なるほどこれは考えさせられる…老人介護、親の「呪い」、自分らしく生きると…

【読了】河合薫「コロナショックと昭和おじさん社会」

今年28冊目読了。健康社会学者である筆者が、コロナが暴き出した昭和おじさん社会の弊害を分析する一冊。 昭和おじさんに分類される身として、思わず手に取ってしまった本。読めば読むほど身につまされる… そもそも、なぜ今昭和おじさん社会が問題なのか。「…

【読了】小林邦宏「鉄道ビジネスから世界を読む」

今年27冊目読了。ユーチューバーにして旅するビジネスマンの筆者が、鉄道ビジネスから世界の新しいルールを読み解く一冊。 鉄道に携わるものとして読んでみたら、「鉄道」はフックでしかなく、世界ビジネスの潮流を考える本だったが(苦笑)、それはそれで面…