世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】染谷昌利「副業力」

今年34冊目読了。株式会社MASH代表取締役のパラレルワーカーである筆者が、いつでも、どこでも、ローリスクでできる「新しいマネタイズ」を解説する一冊。


筆者と、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の講義で知遇を得たので読んでみた。自分自身はまるで副業をしようという気はないが、そのマインドセットは非常に参考になる。


「副業禁止の会社に勤務しているのであれば、急いで金銭を発生させなくても構わない。それよりも、いつでもお金を生み出せる状態にしておくことが重要。そのきっかけは、あなたの趣味や得意分野」「ほんの少し工夫することで、そしてお金をいただくという行動をすることで、趣味から収入を生み出す『副業』に変化する。そしてインターネットの情報発信力をかけ合わせれば、規模感は大きくなる一方で、リスクは減少する」
副業で得られるお金以外のメリットは「スキルアップ、人脈構築、リスクマネジメント」。本業と副業を共存させる方法は「本業の実績を軸に副業を展開していく、副業の経験を先に積んで副業で得た知見を本業にフィードバックしていく、転職あるいは独立の選択肢を増やしていく」と述べる。


インターネット副業がお薦めな理由は「①金銭的リスクが著しく小さい②複数の収入源を並行して作り出すことが可能③これからの時代の必須スキルである情報発信力を身につけられる④距離の概念がない」。「クラウドソーシングで稼ぐために必要な要素は『技術力』『実績(評価)』『営業力』」「人は『悩み』を解決したいときに検索エンジンを利用する」は、自ら副業をするか否かに関わらず参考になるポイントだ。


独自性を生み出すためには「①自分のことを書き出してみる②判断と分類③組み合わせる」。本業と副業を両立させるには「目的意識、時間管理、健康管理を意識する」が大事と指摘する。


価値についての「情報には価値がある。自分の得意分野や好きなことで『誰かが困っているかもしれないな』と想像して発信する」「価値は、方程式『人類に役立つ事象×希少性=価値』と、注釈『ただし、価値観は人それぞれ違う』で表される」という指摘から、独自性を出す法則を「①なぜあなたが、なんのために行うのか(ショップや商品のコンセプトを決める)②そのコンセプトは誰にとって得なのか(お客様の立場を想像)③そのためになにができるのか(商品・サービスの紹介)」と読み解くあたりは、非常にクリアに整理されているなあと感じる。


自分自身の信用度や影響力を向上させるために「①勉強会やイベントに参加する②『情報発信力』を鍛える③自分の『趣味』がお金にならないか調べる④自分を中心とした『コミュニティ』を運営する」。コミュニティ構築のステップは「①自分のコミュニティの理念や目指す場所を明示する②提唱するメッセージに共感してくれた人にコミュニティ参加を促す③メンバーにとって居心地のいい場を提供し続ける④お金を使ってもらうポイントを作成し、サービスを継続する基盤を固める」というのも整理されている。


そもそもビジネスについて「待っているだけでは仕事は増えない。自分が何者なのか発信する」「ニッチであればあるほどライバルは少なく、その商品を求めているコアな層に独占的に届けることができる」「お客様に、商品だけでなくお店そのもののファンになってもらう。これこそが他店との比較検討を避ける唯一の手段」「コンテンツはいずれ無料化するもの。自分の発信する内容について無断転載されても特に気にしない」と分析しているあたりは非常にわかりやすい。また、「無知と怠惰は騙される」「『続ける』というのは単純なようで困難を伴う。行動すれば行動するだけ能力は向上していくので、結果が出ないからと簡単にあきらめずにやり続ける」も、共感できる。


筆者の頭の整理度に全く追い付いていない自分としては「自分がやりたいこと、できることを発信し、それに気づいてもらって仕事になっていくのが一番健全」「副業をやるか、やらないかは個人の自由だが、自分自身を経営するというマインドセットを持つことは重要なポイント」くらいの所感に共感して日々を過ごすくらいしかできないか…でも、勉強になった。