世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】箕輪厚介「死ぬこと以外かすり傷」

今年56冊目読了。奇想天外な手法でヒット本を編集する筆者が、その破天荒な考え方と生き方を書き著した一冊。


これまた佐藤優が「危ない読書」で薦めていたが、確かにこれは危ないな。


基本的な構えとして「相手の才能を吸収するつもりで仕事をする意識はどんな職業であっても大切」「仕事に自分自身の人生を乗っけて熱狂できるか」「予定調和を壊しに行かなくてはおもしろいこと、新しいことはできない。ロジックから感動は生まれない」「ルールは変わる。経験は邪魔だ。無知でいい。ごちゃごちゃ考える前に、動け」「まずは何かに入り込め。周りが引くくらい没入して、夢中になって、一点突破で突き抜けろ」のあたりは、おおいに参考にできる、と感じる。


また、想いや姿勢論についての「意識くらい高く持て。世の中の最前線で起きている動きに、五感を研ぎ澄ます。意識のアンテナを4本バキバキに立てっぱなしにしているだけで、リスクを未然に回避できる。ピンチにチャンスに変えられる」「分断された世の中だからこそ、情報を浴び、知を獲得しろ」「『昨日までできなかったこと』をやる。その実践を繰り返した先にプロフェッショナルがあるのだ」「好きなことをやる、というのは重要だ。そこから逃げるな。しかし、そのために数字から逃げるな。金を稼げ。金を稼いでロマンを語れ」のあたりは、凄いなぁとは思うが、なかなか真似するには厳しいというかんじ。


世の中の読み解き方として「基本的には会社も人間も『金』と『感情』で動く」「自分はその仕事で何を稼いでいるか明確に言語化すべき。『金』という軸だけで考えてしまっては多様で厚みのある経験は積めない」「これから物を選ぶ基準は『物語』になる。特に本などのコンテンツは機能や値段で選ばない。その裏にどんな想いがあるか、誰が編集しているかまで込みで買うか決めるようになる」「もはや人はお金では動かない。夢を見させられる言葉と実行力、そして何より本人が楽しそうにしていることが大切だ」「衣食住という最低限なものが満たされて豊かになると、人は物質的価値でなく、想いで動くようになる」のあたりは、納得できるし、それは参考にしたいなぁ、とは思う。


ただ、著者の言うことを本気にして「集中力というのは、追い込まれた瞬間に最大値を記録する。それならば、常に時間を区切って自分を追い込んだ状態にしておけば集中力は下がらない」「絶対に無理、どんな方法を使っても不可能だというくらいの負荷を自分にかける。すると苦境を乗り越えようという防衛本能が芽生え、進化する。進化は危機からやってくるのだ」「まずはこっちから全てをさらけ出してしまえば、相手も警戒を解いてこいつは信頼できると思ってくれる。丸裸になろう」のあたりをやると、大怪我するのは間違いない。あまりにも劇薬すぎるな、というのが正直なところ。


筆者ほど激烈な生き方やスタイルをのぞむ気もないが「生き方や人生に正解はない。自分をさらけ出して、個体として生きよう」「努力は夢中には勝てない」のあたりは非常に納得できる。どのくらい参考にするか、だな。