世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

合同会社別視点「マニア流!まちを楽しむ『別視点』入門」

今年60冊目読了。まだ世にない別視点を創出する問題発見型アプローチをもとに、今あるものを生かした地方創生のための地域プロモーションやワークショップ、イベント企画を行う会社が、いつもの何気ない風景のおもしろさに気づくことを提唱する一冊。


いやぁ、世の中にはマニアックな人がいるもんだ。商店街、路線図、路上菜園あたりはわからんでもないが、片手袋、火サスごっこ、ゴムホースあたりは『なぜそうなった?』とツッコみたくなる。しかし、今や「視点をずらす」ことが新しい観光の掘り起こしになっているので、なかなか馬鹿にできない。


ずらした視点はどうやって身につけるのか。「別視点を身につけられるポイントは『インプット・発見・発表』の3ステップ」「新たにインストールした視点に、自分独自のフィルターを掛け合わせてみると、それが自分だけの『別視点』になる」「ちょっとしたヒントさえあれば、何十年と研究しているマニアだけでなく、どんな人でも『別視点』を身につけられる」と提唱し、「『珍スポット』という視点で見れば他にはないユニークなものでも、当事者である地元の人にとっては『目には入っているものの行くことのない場所』という箱に無意識に入れられ、あるのに見えていないものとして扱われてしまうのかもしれない」と述べるあたりはなんとなく理解できる。


別視点の見つけ方は、3つあるとする。
1)そのもの自体を深掘りする:「まちのレアものを掘り当てる」「まちのミステリーを推理する」「まちの歴史に注目する」「DIY的な営みを見つける」
2)自分の感覚で楽しむ:「まちの中の美を愛でる」「まちの変化を楽しむ」
3)自分を関与させる:「物語を空想する」「まちを舞台にする」


アウトプットについては「自分自身で発見した『別視点』を文章や写真でアウトプットすることだけが正解ではないし、自分の得意なことを生かし、それぞれのやり方で伝えれば良い。そのなかでも、まず無料で手軽に始められる方法はSNS投稿」「アウトプットによって、他の人もあなたの『別視点』にアクセス可能となる。同志との出会いや新たな発信の場を呼ぶこともある。そうやって、唯一無二の『別視点』が増えれば増えるだけ、世界はどんどんと彩り豊かになるだろう」は、実際にそうなんだろうな。


あまりにも個別にはディープすぎるものの「専門家やマニアの視点があれば、一見なんでもないように思える地域にも、観光需要を生み出せる」「熱狂的にその価値を信じ、アウトプットを続けている人間のガイドで対象物を見ていると、『なんだかとんでもないものを見ているんじゃないか』という気になる。小さな熱狂が広がり需要を生む、それが価値の本質でもあると思う」というのはわかるような気がする。


結構、世の中にはまだまだ見所があるということなんだろうな。「『なんだろう』と思う場所は、日常生活の隣にある、ミステリーゾーンの入口」「気になったものはすぐにスマホを取り出して、ググってみる」のあたりは、意識してみたい。


一般受けはしないだろうが、ものの見方について考えさせられた。