世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】寺田真理子「心と体がラクになる読書セラピー」

今年64冊目読了。日本読書療法学会会長の筆者が、自らのうつを読書で乗り越えた経験をもとに体系化した読書セラピーについてまとめた一冊。


選書の達人が薦めている本だからまぁ間違いないだろうと思って読んで、当然のごとく間違いない。軽く読めて面白い。しかし、読書セラピーなんてあるんだな…


読書の効用について「読書はストレスを軽減し、寝付きをよくし、長生きさせてくれるうえに、共感力まで高めてくれる。健康寿命を延ばすためには読書がもっとも効果的というAIの分析まである」「深く相手の思惑や人格に潜るような交流ができるのは、読書だけ」と述べるのは、読書好きの端くれとしてはうれしい。


本選びについて「大切なのは、今の自分に合っているかどうか」としたうえで「①ビビッときた②気持ちに寄り添う③まさにひとめぼれ(ジャケ買い)④ピッタリくる(文章のリズムや一文の長さ)⑤字面(どれだけ開いているか、漢字かひらがなか)⑥芋づる式(本から本へと興味をつなぐ)」と手法を分類している。


読書セラピーについて「当事者の本を読むことでロールモデルを得て希望を持てるという意味で、読書セラピーの効果は大きい」「本と自分だけの関係に没入すること自体に癒やしの効果がある」「本と深い関わりを持つことで、言葉が自己の一部となる。また、自分の感情を適切に表現できる語彙を持つことでラクになれることも多い」と、その効用を強調。


実際に読書セラピーができることを4つ挙げる。
①対応能力の改善:読書によって得られる精神的・想像的な刺激が変化を促す
②自己理解の向上:読書によって、自分自身の状態を理解したうえで、自分に自信が持てるようになる
③対人関係の明確化:読書は、万人共通のものとしての感情を認識させてくれる
④現実認識の深化:読書によって、社会的、心理的、感情的現実に向き合う力を得られる


往々にして、人が悩むことなんて本に書いてある、と思っている自分としては「人間が孤独になるのは、つらいことを経験し、しかも『こんなにつらいことを経験しているのは自分だけだ』と思うとき。だけど読書をすることで、登場人物が自分と同じような経験をしていたり、同じような感情を味わっていたりして、『こういうことは誰にでもあることなんだな』と認識できる」の記述は、まさに我が意を得たり。めちゃくちゃ共感した。


カバーに書いてある「良好ナル書ハ百ノ医薬ニ勝ル(17世紀の医師・シデンハム)」の言葉は、パクってどこかで使いたい(笑)。読書によって自動的にセルフヒーリングをしている、という感覚は確かにある。大事なことだな…