世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】キリーロバ・ナージャ「6カ国転校生ナージャの発見」

今年63冊目読了。ソ連レニングラード生まれのクリエイティブディレクター・コピーライター・絵本作家の筆者が、数学者の父と物理学者の母の転勤とともにロシア・日本・イギリス・フランス・アメリカ・カナダの地元校で教育を受けた経験から発見したことをまとめ上げた一冊。


中高生新聞で薦められていたので借りてきた本だが、大人でも十二分に読み応えがある。そして、筆者の観察力と分析力の高さに舌を巻く。筆者はこの頭脳でもってして6カ国の学校で生き抜いたんだろうな、と容易に推察できる。


それぞれの違いはネタバレ回避で割愛するとして、筆者の発見(気づき)がいちいち深くて鋭い。5つの発見は本当に価値がある。


発見1)『ふつう』が最大の個性だった
「まわりと違う自分の『ふつう』こそが、『個性』の原料だ。そう気づいてから、今まで嫌いだった自分の『ふつう』がなんだか少しだけかわいく見えた。『ふつう』を磨いていくことが、『個性』を磨くことよりずっと早い」
発見2)苦手なことは、克服しなくてもいい
「苦手を克服しないで活躍する法則は、①自分の『苦手』をしっかり把握する②目の前にあるルールの抜け道を探す③自分がこれならできるやり方に変えてみる④実行してみる」
発見3)人見知りでも大丈夫、しゃべらなくても大丈夫
「人見知りの過ごし方は①客観的に人や状況を観察する②しゃべる前にしゃべる内容としゃべり方を考える③こう言ったらどんな反応があるかなぁと予測もする④返ってきた言葉を振り返って、次の発言を考える」
発見4)どんな場所にも、必ずいいところがある
「苦手な科目があっても大丈夫(イギリスの学校)アウトサイダーだと感じない(フランスの学校)発見するチャンスがたくさん(日本の学校)とにかく褒められる(アメリカの学校)」
発見5)6カ国の先生からもらったすてきなヒントたち
「すべてに理由、そして面白さがある(ロシアの先生より)分からないことがあるから、仲間がいる(イギリスの先生より)人生に完璧はなかなかない(フランスの先生より)わたしも、答えを知らない(アメリカの先生より)目標を立てるのも、達成するのも自分だ(カナダの先生より)前例を覆すからこそ、進化がある(日本の先生より)」


おわりに書いてある「どこの国の学校がいちばんよかったですか?わたしにとっていちばんよく聞かれて、いちばん答えに困る質問が、実はこれ。なぜなら、正解がないと思っているから。あるいは、数え切れないほどの正解があると言ってもいいかもしれない」「『絶対的な正解』をみんなで探すのではなく、一人一人の『正解』をみんなで見つけていくしかないのだ」が魂を揺さぶる。すべての大人が読むべき本だ、とすら思う良書。