今年32冊目読了。21世紀型の動機づけ理論を提示した筆者が、時間生物学に注目した「When to」タイムハックを唱える一冊。
知遇を得た畏友が薦めていたので読んだら、なるほど面白かった、という本
サーカディアンリズムから「感情のバランスは午前中に上昇し、午後に下降したのち、夕方に再上昇する」「体温の上昇により、エネルギーレベルと注意力は次第に高まる。すると、次にわたしたちの実行力や集中力、演繹力が高まる。ほとんどの人にとって、こうした鋭敏な分析能力は、午前中の遅い時間、もしくは正午頃にピークに達する」「イノベーションとクリエイティビティは、わたしたちが最高の状態でない場合(夕方)に最大の力を発揮する」と読み解かれると、結構びっくり。とはいえ「4人のうち1人は、ほかの3人とは異なる時計を持っている」「高校から大学の年頃はフクロウ型に偏るように、60歳以上と12歳以下はヒバリ型に偏る。男性は一般的に女性よりもフクロウ型」ということも留意が必要か。
午後に注意力が落ちないようにするには、昼休憩に「①何もしないよりも何かしたほうがいい②動かないより動いたほうがいい③1人で過ごすより誰かと過ごしたほうがいい④屋内よりも屋外で過ごしたほうがいい⑤中途半端に離れるより完全に離れたほうがいい」「昼食時に仕事以外のことに意識を移せば、疲労感を下げる」「昼寝をする。静かな環境を作り、コーヒーを一杯飲み、タイマーを25分に設定し、一貫して繰り返す」は、確かに眠気に悩むタイプなので納得。
また、人間の特性として「人は中盤で手を抜きやすい」「人生の中間点で幸福感が落ち込むのは、希望が実現しなかった事実に落胆するから、または生物学由来」「中年のスランプに立ち向かうには、①目標に優先順位をつける②ミッドキャリア層のためのメンターシップを導入する③ポジティブな出来事を頭の中から取り除く④自分を思いやる短い文章を書く⑤待つ」のあたりは、まさに中年まっただ中にある自分としては参考にしたい。
集団のタイミングの原則は「①外部の基準がペースを定める②個人が結束するために帰属意識が役立つ③同調は必要であると同時に幸福感を高める」「集団はボス、仲間、ハートという3つのレベルで、タイミングを一致させる必要がある」だという主張も体感と一致する。
筆者の「結局のところ、わたしたちは意味を求めているのだ」は、全く共感できる。けっこう面白く読めた。