世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】小林直樹「人気No.1にダマされないための本」

今年73冊目読了。日経BP「日経クロストレンド」記者の筆者が、数字を扱う手法の問題点と見方について解説する一冊。


新聞で推薦されていて、タイトルも面白そうだったが、なんだか空振り感しかなかったなぁ。


注意点について「ランキングをただうのみにするのではなく、調査手法に目を通すことでどんな特徴が評価されやすいかをイメージし、そのうえで自分自身は何が優先事項かを考えながら選ぶ際の参考にする。そんな向き合い方が必要だろう」「『その回答は以前から上位にランクインしているのか?』『ランクインしていないならなぜ急に今回ランクインしたのか?』『調査方法・対象に変わった点はないか?』まずは要確認である」と述べているのも、さして目新しい部分はないし。


少し気になった点としては「日本人の回答は世界で最も保守的で手厳しいという特徴がある」「65.2%が読書もしない、日本は世界一学ばない国という統計も、大卒以上の割合が違う前提であることが抜けている」のくらい。
飲み会についての「これまでは居酒屋、飲食店の個室、スポーツバー、カラオケボックスの大部屋など、目的に応じて使い分けられてきたが、これらの需要が仲間内のプライベートスペースとして使いやすいレンタルスペースに一気に流れ込んでいる」も、実感ないなぁ…


もっともらしく述べている「40代~50代でスマホ左手持ちが多いのは、受話器を左手で取って左耳に当て、右手で番号をプッシュしてメモをとることを想定した固定電話の経験が染みついた世代なのでスマホも左手持ちが習慣づく。若者は右手。」も、実際に右手で操作するアラフィフとしては『なんだかなぁ…』としか思えない。もちろん「『自分の作法』イコール『みんなの作法』ではない。世代や国を超えると必ずしも標準ではない」という考え方はそのとおりなのだが。


すごく賛同できる点として「人は自分のためよりも日ごろ交流のあるコミュニティー内の人のため、つながりのために動く。さらに、直接的な交流回数が多い、濃い関係であるほど、インセンティブが働きやすい」の記述はそうなのだが、そもそも、これ、数字データじゃないし。


結果として、筆者が最後に「疑問を持つこと、調べてみることが大切。本書に対してもうのみにせず、クリティカルに読んでいただければ幸い」と書いたとおり、とてもクリティカルな感想しか持てなかった。ま、こういう空振りもあるということで。