世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー「マネジャーの最も大切な仕事」

今年127冊目読了。ハーバードビジネススクール教授と、心理学者の筆者が、「95%の人が見過ごす『小さな進捗』の力」に着目した一冊。


インナーワークライフなどという謎の言葉を使って、色々と同じことを違った角度から何度も切り刻むような本。主張は、そんなに難しいことではない。


チームで仕事をする上で大事なこととして「人間を人間たらしめるのは、感情、認識、モチベーション」「マネジャーにとって最も大切なのは、チームや部下にとってやりがいのある仕事が、毎日少しでも進捗するよう支援すること」「社員に対する仕事関連の心理的支援は、会社に対するパフォーマンスの支援」「ハイパフォーマンスには①創造性②生産性③コミットメント④同僚性、の4つの側面がある」のあたりは、とても納得のいくものだ。


また、仕事をうまく進めるため「仕事のプラスに働くのは、やりがいある仕事の進捗、仕事を直接支援する出来事、その仕事を行う人の心を奮い立たせる対人関係上の出来事。逆もまた真。」「小さなポジティブな出来事やネガティブな出来事は、心を上向かせも落ち込ませもするちょっとした加速装置」とし、進捗の大事さを解く。「進捗したと分かるには、①マネジャーからフィードバックを貰う②仕事自体からフィードバックをもらう。後者のほうが望ましい」


組織について押さえるべき点として「性格ではなく、その出来事に対する解釈が決定的に重要」「組織風土とは組織内で起こる具体的な出来事から生まれていく。時が経つに従って、似たような具体的な出来事がその風土を強化していく。風土の要素は①社員と彼らのアイデアの尊重②協調③コミュニケーション」を挙げる。


また、人間の特性として「人は幸福を感じ、組織や社員へのポジティブな見方を持ち、仕事そのものからやる気を引き出されている時に普段より優れた仕事をする」「人間の最も基本的な原動力のひとつは自己効力感、つまり自分には望む目標を達成するために求められる作業をプランニングし実行する能力があるのだという信念」「基本的に時間的プレッシャーが低いときの方が人は創造的な仕事をする」「人間関係のファクターは①尊重②励まし③感情的サポート④友好関係」あたりが組織の改善に関わるポイント。


自身が中間管理職であるので、「やりがいを失くすメカニズムは①自分の仕事やアイデアが仲間から相手にされないこと②自分の仕事から当事者意識が失われること③自分たちが従事している仕事は日の目を見ないのではないかと疑念を抱くこと④頼まれた作業に対し、自分にはもっと能力があるのにと感じてしまうとき」「やりがいある仕事とは難しい仕事。人は最も難しい挑戦を乗り越えたときに最も満足度を得ることが多い。イノベーションへの道のりには失敗がつきものだ」「気づきは行動への最初のステップ」のあたりは留意しておきたい。


分厚い本だが、主張はシンプル。わざわざ読むほどの事はないように感じた。上記メモの抜き書きで事足りる。