世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】川島隆太「『本の読み方』で学力は決まる」

今年126冊目読了。東北大学加齢医学研究所教授の筆者が、脳と読書、脳と読み聞かせの関係に迫る一冊。


元々興味のある新書だったが、中身はペラッペラ。筆者がニンテンドーDSの「脳トレ」を監修しているあたりで、あまり深みがないかな、とは思ったが…


結論としては「読み聞かせをすると、子供達の脳は単に声を聞く反応を示すだけではなくて、感情や情動の脳が働く。読み聞かせをしている大人の脳は、単に本を読む反応を示すだけではなくて、コミュニケーションの脳が働く。読み聞かせは親子の極めて良質なコミュニケーションとなり、子供達の心が安定し、親への信頼と愛着が増し、その結果、親の子育てストレスがぐっと軽くなる」。だから、子供のために、読み聞かせで読書習慣をつけよう、ということ。この結論の補強ばかりで、「そんなの体感としてわかってるよ」という気持ちがあるから、とても薄く感じてしまう。


警告として「2時間以上勉強しても、ほとんど勉強しないが読書はする子供達と同じ成績になってしまう」「多くの子供達は小学校から中学校に進学したところで読書をやめてしまう」「スマホの使用時間が長いほど、読書習慣のない子供の割合が高い」「睡眠不足は脳の機能の低下のみならず、脳の発達自体にも影響がある」「読書や勉強を頑張ってせっかく身につけた(つもりになっている)知識も、しっかりとした睡眠によって記憶の定着を図らない限りは学力という結果には結びついてこない」あたりを指摘するが、どれも特に目新しいものはない。


筆者の「速読は、本の要旨や概要をすばやくとらえたい時など、状況や目的に応じて取り入れる」「本をダラダラ読むのではなく、内容や要点を記憶しながら集中して読み進めることで、脳の司令塔である前頭前野の活性化につながる」という指摘どおり、サクサクと読み飛ばしさせてもらった。結果、20分ほどで、ここのメモ程度のレベル。買って読む価値は全くないな。
「音読は、黙読に比べて多くの領域で脳活動が生じる」「読書をする時には可能な限りスマホの電源は切って、目に入らないところに隔離することが、読書の効率を上げるために非常に有効」のあたりも、改めて言われるまでもない。


子育てにおいて「親が子供をほめる頻度は、子供の性格と一定の関係がある。特に関係があったのは、良識性と知的好奇心」は留意したいが、新たな発見がなく、退屈な本だったなぁ…