世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】林健太郎「否定しない習慣」

今年12冊目読了。リーダー育成家にして合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチの筆者が、いつも『いい人間関係』をつくることを提唱する一冊。


畏友がお薦めしていた本なので楽しみにしており、期待通りの面白さ。


否定を「『相手の言葉や考え、行動の結果を認めない』『相手の話や意見を打ち消す、聞かない、奪って違う話をする』『相手のミス・失敗を責める』『悩みの相談などに対して真剣に向き合わない』」と定義。「『否定』の前提は、『よかれと思って』。この考え方が、否定を正当化する」と、その問題を解き明かす。


否定が悪いのは「もっともやってはいけないのは、相手の存在そのものを否定すること」であり、日本人が否定されることに慣れていないのは「①ムラ社会的な考え方によるもの②NOと言う直接的な表現がない」と指摘する。


否定しないマインドの考え方を「①『事実だから否定してもいい』という考え方はしない②『自分は正しい』という思考はしない③『過剰な期待』はしない」として「意見の違いは否定せずに、目的を共有する」「『相手を責める』という行動の選択肢はキッパリ捨ててしまう」「コミュニケーションは『感情』ではなく『未来の着地点』で考える」「否定は『上から目線』が生み出している」と解き明かすところはとてもわかりやすい。


では、否定しないテクニックはどういうものがあるのか。「肯定して、そのときの自分のポジティブなプラスの感情を伝える」「言葉を返す前に能動的に黙る。相手の言葉が終わった後の数秒は、相手を否定しないためのリスクヘッジの時間」「『相手がそう言っている』事実は承認しても、同意する必要はない」「もし否定してしまっても、『否定するつもりがなかったこと』を伝えてリカバリーする」「相手の言葉に対して『わかる、それ』と言い切るのではなく『わかるような気がする』と言うようにする。だって、あなたはその人本人ではないから、相手の気持ちの全部なんてわかるはずがない」のあたりは参考にしたいし、相手に否定を感じさせない伝え方として「①面白おかしくする②逃げ道を残す③期待をほのめかす」というのも実体験からして納得だ。


そのほかの技術として「相手をその気にさせる潤滑油の言葉は『さすが』という3文字」「会話のとき、自分は『いるだけでよい』」「相手の目を見るのは『話し始め』『相手の話の句点のタイミング』『話しおわり』で十分」のあたりもなるほどなぁと感じる。


心がけとして「相手の否定のうち、いらない部分はすべてザーッとこぼしてしまう」「見聞きしたものは『解釈』であって、事実情報とは違う」「実際にやってみることが『学んだことを本当につかむこと』につながる」は参考にしたいところ。とにかく、実践あるのみ、だな…