世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】稲垣涼子「カワイイエコノミー」

今年31冊目読了。フリュー株式会社ガールズトレンド研究所所長にして、プリントシール機のヒット商品を多数企画した筆者が、若年女性への売り方を惜しげなく教える一冊。


仕事上、「若い女性」というマーケットを狙いつつ、なかなかオジサンである自分の感覚では…と思っているので読んでみた。なるほどと思う反面、理解できないなぁという気持ちもあり。


女性の行動特性として押さえるべきポイントとして「若い女性に売れるには『女の子の気持ち』『流行』『商品・サービスを具体的に作る』が必要」「進化ではなく『変化』を求めるのが若い女性」「女の子をターゲットにするには『仲間感』『自己肯定感』『日々を本当に楽しんでいる人が好き』」「ヒットを生みたいなら『みんなに嫌われない』を大切に」「女の子の流行は、常に小さな変化をし続ける。長い時間でみると大きく変わる。現状を少し変える提案を継続的に行うことが大切」と提唱。


そもそも、女性に売るには「女の子の行動理由は『自分が一人ではないという安心感』『他者から評価されることも含めた自己肯定感』」「見た目だけでなく、何を考えて、どう生きてきたか、背景も含めて女の子が他人を評価する時代」「『それ欲しいかも』では弱く、『うわー、めっちゃ欲しい!』と女の子達が口を揃える状況でないと、商品としては厳しい」「かわいい、おしゃれは最低限のハードル」ということが成否を分ける、とする。


女性に限らず、市場の読み解き方としては「現代ではインターネットの普及や所得の伸び悩みで多くの価値観がさまざまに生まれ、『いいもの=技術力の高いもの』ではなくなりつつある」「『否定』が入るのは、良くも悪くも目立っている。賛否両論混じっていれば、なかなかいい結果」「そのときの文化と、そのときのテクノロジーの相乗効果によって流行が起こる」「ずっと同じだと飽きてしまうので、少しずつの変化は望んでいるが、大きな変化を望んでいる人はほぼいない」「市場には自発的なユーザーか受け身のユーザーの二者しかいない」「世界観とは、商品やサービスに統一した意味づけをしていくこと」がポイントと述べる。


実際に企画するには「商品やサービスを提供する側として、モノづくりをする上では『変化し続ける』ことが重要」「ターゲットユーザーをハッピーにする」「結局『お金を払うのは誰か』を愚直につかむ以外に方法はない」「『表面ではこう言っているけど本当はどうなんだろう』という意識を持つ」「大きな流行を察知するには、流行前のプチブームを見逃さない」「いちばん大事なのは、お客さんが『どんな人か』の共通認識を持つこと」「企画をブラッシュアップするには対話が重要」「プロセスをできるだけ簡単にし、プロセス自体でも楽しめるようにする」というスタンスを重視するように主張する。


アラフィフのオッサンにとっては「20代半ばにうけるデザインにすると30〜40代くらいまで違和感なく取り込める」「『盛る』は『女の子が考える理想的な方向に加工する行動」「『流行が終わった合図』は、『おじさん』が参入したら」がチンプンカンプンな上にダメージでかい…


とはいえ、「『自分で』『多くを』経験することは、何よりも強い」「コツコツとずっと粘り強く提案していくことは、とても大きな力になる」というシンプルな主張は非常に共感できる。何らかのヒントにはなりそうな本だ。