世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】恩田陸「エンド・ゲーム」

今年12冊目読了。ベストセラー作家の筆者が、独特の世界観で描き出すホラー小説のようなファンタジー小説


「裏返す」「洗濯」など、謎の世界観が渦巻く中で、何が虚であり何が実であるのか、というのがどんどんわからなくなっていく。これも三谷宏治お薦めなので読んでみたのだが、どうも読後感がザラザラしていて気持ち悪い。だが、そういったことも含めて、「虚々実々」ということの認知なんてそんなものなのかもしれない、という不気味な疑問を投げかけてくる怪作。


ネタバレ回避なので結論は書かないが、気になったフレーズを書き出してみた。


「知覚って、そんなに絶対的なもんじゃないんだよ。もっと流動的で相対的。見える、見えないと一見絶対的に思えることだって、実は精神的な部分がかなり支配してるんだよな」「自分の存在自体が不安になる。あたしは本当にあたしなのか。思わず、手や足を見下ろしていた。この、見えている姿を見て、感じている姿、自分だと思っているあたしは本当の姿なのか」


「病気を封じ込める-発病を防ぎ-解放-効果-苦痛-残酷。」


「懐かしい学生の感覚。こんな日々もあった。世界は単純で、目の前には開かれた未来が広がっている。自分は若く聡明で魅力的で、そんな自分を待ち受けるのは輝かしい未来に違いないという根拠のない自信に溢れている。懐かしい愚かさ。いとおしき愚かさ。実際の世界は、矛盾と妥協、困難と挫折に満ちているのに」


「恐怖は生存の欲求に過ぎない。もはや俺には恐怖などという贅沢なものは感じられない」