世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】スティーブン・ガイズ「小さな習慣」

今年122冊目読了。自己成長ストラテジーの調査と執筆を行う人気ブロガーが、目標をばかばかしいぐらい小さくすることを提唱する一冊。


筆者の提唱する小さな習慣については「毎日こ」だけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動」「基本は、こんなに簡単でいいの?と思うくらいの課題を自分に与え、それをほんのわずかな意志の力を使って実行するもの」「習慣とは、あまりに簡単なので、しないよりするほうがいいと思える行動」「コンフォートゾーンの境界線のところまで歩いていき、一歩だけそこから外に出ること」と定義。「行動が習慣になるまでにかかる日数は平均66日」と、じっくり取り組む必要を説く。


脳の特性として「繰り返しが(潜在意識の)脳の言語」「ゆっくりとした変化だけを受け入れることで安定を保つ」「前頭前野は重要な仕事を任されているのでエネルギーをたくさん使い、あなたをヘトヘトに疲れさせる。疲れ切っているときには、繰り返しを好む脳の部分、つまり大脳基底核がコントロールを奪い取る」という点に触れる。


モチベーションについては「感情に基づくもので、信頼できない」「モチベーションを使う方法がうまくいくのはエネルギーがありあまっているとき、健康的な考え方をしているとき、ほかに大きな誘惑がないときに限る」とし、「何かをするモチベーションが欠けているときには、必要となる意志の力がぐんと大きくなる」「先に行動をとると、モチベーションがすぐにあとを追いかけてくる」と処方箋を打つ。


人間の行動特性として「ストレスを抱えると、習慣化された行動をとることが多くなる」「強い感情を引き起こさないことが、習慣化の利点のひとつ」「自我消耗の原因は、努力、困難の自覚、否定的な感情、主観的な疲れ、血糖値」「いったん習慣ぎ定着してしまうと、強い意志を持ってしてもそこから抜け出すのは難しい」とする。


小さな習慣のステップとして「①習慣とプランを選ぶ②なぜを問うドリルを使う③行動開始の合図を決める④報酬プランを考える⑤すべてを書き留めておく⑥小さく考える⑦スケジュールを着実にこなし、期待しすぎない⑧習慣になる兆しである、抵抗がなくなる・一体感・無意識の行動・不安がなくなる・日常化を見逃さない」とし、失敗させないルールとして「①決してごまかさない②すべての進歩に幸せを感じる③頻繁に自分に褒美を与える④冷静さを保つ⑤強い抵抗を感じた時は、後戻りして考える⑥どれほど簡単な課題かを思い出す⑦ステップが小さすぎるとは決して考えない⑧余ったエネルギーと野心はおまけに使い、目標は大きくしない」を挙げる。


露骨な自己啓発本、かつ脳科学は人からの受け売り。まぁ、そんなもんか、と読み流す感じだが、参考になるのは「習慣づくりの道のりで必要となるのは①意志の力を強化する②つねに進歩が見られる③意志の力を消耗させない」。


…で、気づいた。どうして、この自己啓発に共感できないか。それは、「飽きる」という感覚を全く扱っていないからだ。それなしに、意志の力だけで突き進む事ができれば、みんな仏陀みたいに悟りが開けるはず。でも、そうはなってない。


やってみようとも思わないが、こういう見方もある、という程度の参考にはなる。