世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【紙と電子のせめぎ合いから。】

仕事上、時刻表は業務に手放せないところにいる。その状況の中で、中堅世代(アラフォー)で話をしている時に「最近の若い社員は、Yahoo!検索を真っ先にする。どう考えても時刻表のほうが速いのに」と盛り上がっていた。
…実は、このとき、雰囲気、口をつぐんでいた。「単純検索なら、どう考えてもYahoo!が速い」と思っていたので。でも、自分以外の全員が「時刻表が速い!」と断言。これは、何なのだろうか。紙と電子のせめぎ合いという観点で、考えてみた。

《ポイント》
●紙と電子には、特性がある。
紙媒体は「一覧性」が強い。だから、多数の情報を一覧したうえで、一つの情報を抽出する場合には、やはり紙媒体のほうが速い。
他方、電子媒体は「検索性」に優れる。必要な変数がある程度確定しているのなら、まさにYahoo!検索のように一発で最適解を探し当てられるから、こちらが優れている。

●自分の経験は、絶対化しやすい。
昔は電子検索などないので、当然のこと、紙媒体で調べるしかない。当然、その制約の中で苦しみながら覚えていくわけだが、その「苦しんだプロセスと、その結果として得た知識」は、今であればもっと手軽なプロセスで手に入るかもしれない。
しかし、それを認めると、自分の苦しんだプロセスを否定するように感じるので、どうしても自分の経験を絶対化し、認めたくなくなるのだ。

《問題の所在》
●合理性より、自分の体感を優先する罠。
中堅世代だって、もちろんスマホを使っているし、自身の近所のお出かけの際にはアプリ検索を行っているはず。つまり、電子の優位性は合理的に認めているのだ。
しかし、仕事となると、自らの過去が「紙で覚えたほうが力がつく」という体感を持ち、それが確固たる信念となっているせいで、時代に適合できない。

必要なのは「どの場合は紙が、どの場合は電子が優れているのか。そのうえで、学習として頭の中で構造化するためにはどうなのか」という、網羅的な考え方。ついつい、自分の経験にとらわれがちであるが、これだけ時代の変化が速い中で、中堅層は「経験の一般化」と「技術変化へのキャッチアップ」を怠ってはいけない。

自戒の念を込めて。