今年6冊目読了。図書館司書が、レファレンスの実例から「調べるコツ」を紹介していく一冊。
これは読みやすい。「何それ?」というような調べ物の依頼に司書が奮闘するストーリーが楽しく、かつ、なるほどこう調べるのか、ということが学べる。
出る杭は打つ:一つの質問からなるべく多くの可能性を考え、面倒くさがらずに、一つずつ確認していくこと。一つの確認から、さらなる可能性を生むこともある。
司書も歩けば資料にあたる:コンピュータの検索データとにらめっこしているだけでなく、書架をブラウジングしていたら思わぬ発見が。
配置場所 わからなければ OPACへ:探している分野の本がどの棚にあるかわからないときは、OPACを使って蔵書検索し、本の分類番号を見てみる。
上司は足で稼ぐ:ネットやOPACを使って検索するよりも、書架でいろんな資料を手にとって調べるほうがスムーズなケースもある。機械は便利だが頼りすぎない。
資料はウソをつく:書かれた時点では真実だと思われていても、新たな発見によって変わる事例は多々ある。
完璧なデータベースなどないと心得よ:検索する側の間違いもあるが、データベースが間違っていることもたまにある。検索キーワードは、いろいろ試してみる。
押してもダメなら引いてみる:調べものには発想の転換が大事。
インターネットはサイトが肝心:そのサイトが企業・官公庁・団体のオフィシャルサイトか。
何はなくても想像力:外国人の表記や翻訳書のタイトルは本当にまちまち。想像力を駆使してあれこれ入れてみる。
我思う、故に資料あるかも:ひらめきにも理由がある。「こんな本出ているかも」とイメージしたら、直感を大事にして、半信半疑でも見ておく。
急がば索引:索引を使うのは事典類を引くときの鉄則。面倒な気がするが、意外と目的の情報に早くたどり着ける。
弱ったときの「日本語大辞典」:日本で一番収録の多い国語辞典。まずは引いておいて間違いなし。
その他に「レファレンスは最初の連想を誤るととんでもない方向にいってしまう」「思い込みってダメなんだな。それだけで視野が狭くなっちゃう、探せるものも探せなくなっちゃう」の記述は頷ける。
調査の展開として「●絞る:大枠を把握したうえで調査範囲を絞る●広げる:特定のポイントから調査範囲を広げていく●射抜く:必要な言葉やキーワードをダイレクトに探す●たどる:類似する情報や手掛かりをもとに調査範囲を移動する●視点の変更:可能性を考えて、視点・観点を変更した調査を行う●媒体の変更:ある媒体から別の媒体に、調査範囲を移る」は、調べ物の参考にしたい。
さらりと読めるうえに、興味深い知恵まで身につく。これは読んでよかった。