世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】齋藤孝「読書力」

今年117冊目読了。明治大学文学部の筆者が、本を読むことの意味と、読む力の鍛え方書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
本をよく読む人はもちろん、むしろ読書と縁遠くなっている人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『なぜ、本を読むべきなのか?』には「自分をつくる最良の方法である。言葉をより多く知ることができる。わからなさを溜めておく技が培われる」。
『本を読むことのメリットは?』には「思考停止せず、他者をどんどん受け入れていく柔らかさが培われる。読書を核とした向学心や好奇心が身につく。素早く要点をつかむかとができるようになる」。
『読書を、より血肉とするには?』には「ある程度の期間持続的にその本を読み続け、生活とオーバーラップさせる。自分の自己形成に関わった本は、線を引いた形でとっておく。本を読んだらとにかくその内容を人に話す」。

実はこの本、8年前に読んでいて、再読だ。「そうかな?」と思いながら図書館で手にしたが、これはこれで価値があった。少なくとも「読書が苦にならず日常で何気なくできる力」という読書力は身についたことが体感できたし、「自分では言葉にして表現しにくかった事柄が、優れた著書の言葉によってはっきりと言語化される。こうした文章を読むと共感を覚え、線を引きたくなる。」も、物凄く共感できるようになった。

「人間の総合的な成長は、優れた人間との対話を通じて育まれる」「口語体は日常生活で自然と身についてくるが、文語体は意識的な練習を通して身につけられるもの」「言い換えにはコツがある。抽象的なものは、具体的なものに少し直し、具体的な発言に対しては、少し抽象度の高い言い方で言い換える」のあたりも、バッチリ体感にフィットするようになった。自らの8年間の読書の積み重ねが感じられるとともに、そこに至ってなお味わい深い本書の力をしみじみ感じる。

未読の方、あまり本を読まない方、ぜしご一読を。

※恥曝しですが、8年前の感想は以下。いやぁ薄っぺらい!!

齋藤孝「読書力」読了。分かりやすく読書の必要性を説く。自己形成、コミュニケーションの基礎というのは全くそのとおりと思う。人間、なかなか自己を相対化できないが、読書ならそれがやりやすいからなぁ。読書はスポーツ、というのはやややり過ぎ感があるが。

余談だが、巻末にお勧めの100冊が掲載されている。有り難いが、現在読みたい本リストに140冊あるのに、こんなに追加したら年80冊読んでも3年かかっちまうじゃないか(爆)。えらいこっちゃ。