世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読書の記録と、本の再読。】

齋藤孝「読書力」を8年ぶりに再読した。実に面白い発見が多かったので、これはお勧めだ。

●8年の歳月は、人を変える。
8年前は「読みたい本がこんなに増えると年間80冊でも3年かかる」なんて思っていたが、幸いにして、年間100冊は読めるようになった。これは、自分が変わったなぁ、ということを痛感させてくれる。

●記録があると、比較できる。
8年前に読んだ本を覚えているか?と言われれば、ほぼ難しい。しかも、読んでどう思ったか?なんて、到底思い出せない。
…しかし。「記録」があれば、明確に比較できる。テキストは固定なので、良くも悪くも、容赦なく「その断面の」自分を突きつけてくる。今の自分の感覚を文字化すれば、その差異はビビッドに見えてくる。

●精神の成長を感じ取れる。
「身体測定(長じれば、人間ドック)」…そこは、数値化されるだろう。
他方。精神面の成長は、なかなか数値化できない。さらに言えば、「何がどう変わった?」という話になる。そこで、過去の自分が「本に対して」「精神的に」向き合った記録があれば、そこと比較できる。※数値化できない部分こそが、AI時代に大事だと思う。
ビビッドに、「過去の自分が書いた文章」に向き合う。本当にイヤだが、それは大事なことだ。

●記憶の曖昧さを知ることができる。
人間の記憶ほど、いい加減なものはない。なぜなら、思い出す、というタイミングで、「思い出そうとしている時点での自分の考え」や「こうであったらいい、というストーリー」を織り込んでしまうから。
つまり、現在の自分にとって「都合のいいように」捏造してしまうのだ。これが無意識に行われるから、怖い。
その怖さは、どう体感するか。「思い出してから、過去の記録を見る」と、その落差を明確に感じられる。

●習慣という怪物とどう付き合ったかがわかる。
「精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。」という三島由紀夫の名言を出すまでもなく、習慣の破壊力は凄まじい。しかし、「日々が連続するもの」として認知してしまう我々人間は、ついついそれを忘れてしまう。一定期間を経た振り返りは、それを可視化してくれる。

「記録」「積み上げ」「振り返り」。成長には、とても大事だ。引き続き、継続しよう。