今年132冊目読了。スワースモア大学心理学教授にしてタオス・インスティテュート所長と、ペンシルベニア州立大学心理学及び女性学教授の著者が、社会構成主義について解説する一冊。
主張は概ね理解できるが、いかんせん、直訳っぽいのか何なのか、表現が迂遠で読みにくい。そんなに難解な論陣を張っているようには感じないんだけどなぁ。
まず、現実の曖昧さについて「私たちが現実だと思っていることはすべて社会的に構成されたもの」「真実の主張は、常に価値観の伝統と結びついている」「あらゆる種類の真実の主張は特定の文化的、歴史的状況における関係から生まれた」と述べる。
また、人間の陥りやすい罠として「知識の主張が常にそうであるように、限定された真実という謙虚さが、万人共通の真実という傲慢さにすり替わる」「規律は可能性を閉ざし、規律の外部にいる人を軽蔑することにつながる」を挙げる。
視野を広げるには「どんな、ものごとの本質の主張も、それは見方の一つに過ぎないとわかると、それとはまた別の見方もあることに気づく」「悪いのは自分ではなく、システムだと気づけば、自信喪失の覆いが取り除かれ、それまでとは違った行動を取れるようになる」「他人の伝統の中に肯定的な要素を見つけることができれば、相互探索によって新たな生き方が生まれやすくなる」「対立の解決を目指すのであれば、これらの相反する意味の領域同士を接近させるには、どうしたらよいか?が重要な問い」と提言する。
そして、人が共に創造的に取り組むには「現実づくりに加わる」「限界を共に探索する」「新しいビジョンを一緒につくり出す」のいずれかを推奨する。
この他にも「言葉は、規定の目的で、規定の行動をするときに、初めて意味を持つ」「文化をまとめる際に、歴史と運命に対する共通感覚を生み出すような物語はとりわけ重要」など、いいことを書いているだけに、『もっと読みやすければ…』という残念な気持ちは否めない。ただ、大枠としては賛同できる部分が多い。