今年56冊目読了。元外務省主任分析官にして、作家の筆者が、本を読む人だけが得られることを書き記した一冊。
〈お薦め対象〉
本を読むすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★
自分の問いは3つ。
『読書は人に何をもたらすか?』には「表現に必要不可欠な言語力が身につく。自国の代表的な古典を読むと、おのれを知ることができる。ものの見方、考え方を知り、自分の中にさまざまな世界を内包させ、内面世界を豊かにする」。
『世の中の原則は何か?』には「人生を力強く生きる最大の力は、よい友人とよい本。言葉にすると感情は明確になり、それが定着して情操を強化する。自分が正しいと確信している人ほど傲慢になり、ときに暴力をふるう」。
『どのように本を読めばよいか?』には「最初は絞り込まず、幅広くいろいろな知識を取り入れる。難しい本には一人ではなく師匠や仲間と一緒に立ち向かう。読解が難しい本や文章は音読する」。
とにかく筆者の読書量とそれに基づく知識の網羅ぶり、そして体系立てた理解が半端なく、ただただ圧倒される。しかも、ただ本を読んでいるだけでなく、神学にも詳しいので「神は最も不幸な場所、最下層の絶望の世界にこそ立ち現れる」などの記述も味わい深い。
「まず、どんな本を読んだらよいのか…」と迷っている人は、本書に紹介されている本をお勧めしたい。そして、言語力を強化されればよいと思う。なにせ、「言語力のうち、『聴く』『話す』『書く』力が『読む』力を超えることはない」(本書より抜粋)のだから。