今年79冊目読了。小説家にして書店経営者の筆者が、戦国時代のさまざまなエピソードに人間ドラマを創作していく一冊。
もちろん、史実を下敷きにしつつフィクションなので、「そうかもしれないなぁ」くらいの軽いノリで読むにはよいが、専門的に見ると…なんだろうな。まぁ、ライトなエンタメという感じでさらっと。
ネタバレ回避で、気になったフレーズを抜き書き。
「今少し人を疑え。尾張の外には魑魅魍魎が跋扈している。それを切り従えて行く」「これからは臆病さも必要になる」
「己は何をしていたのだ。信玄は自らを責め、自らを悔いた。己もそれなりの歳になっているのに、まだ時は残されていると根拠なく思い込んでいた。悠長に構えていたのはなんと愚かだったのか」
「一生に無駄はないのかもしれない。仮にあったとしても、そう信じるしかないのではないか」
「川を背後に戦えば退路に窮することから、元来は下策として扱われる。楚漢戦争において韓信がそれをらか手に取り、兵を奮起させるために使ったのである。つまり全兵が意識してこそ意味がある」
「趣向とは、やるべきことをやった先にある」
「人とは不思議なものである。たったそれだけと思えることに一生を賭すことができる。他人から見れば、それがどれどほ下らないと思えることでもである」
「人というものは、いざ頼りとする者がいなくなって、初めて真に成長する」
「見てくれなど関係ない。肝心なのは中身よ。周りには何とでも言わせておけばよい。そうして低く見て油断させておけば、より大事が成せるというものだ」
「関ヶ原で徳川に弓を引き、十万石の大名にまで挽回したのは、西国無双と名高い立花宗茂のほか、丹羽長重のみである」
「新たな夢の前に、世話になった今の夢も、美しく掃き清めてやらねばなるまい」